練習前、選手たちにメッセージを送る福留。虎を去っても若手の活躍を願っている（撮影・岡田茂）【拡大】
今季限りで阪神を退団することが６日に発表された福留孝介外野手（４３）が同日、鳴尾浜球場で行われた最後の２軍練習に参加した。練習前にはグラウンドで、若手に向けて「自分で限界を作るな」とラストメッセージ。他球団での現役続行を希望している日米通算２４０７安打のレジェンドは、８年間のタテジマ生活に別れを告げた。
鳴尾浜にピーンとした空気が張り詰めた。練習開始直前の午前９時５８分。左翼付近に選手、平田２軍監督ら首脳陣、球団職員が集合。今季限りで退団する福留の５分間のスピーチを直立不動で聞き入った。
「やっぱり１軍の舞台でやることが夢だと思うので。今、ここで自分の限界を作らずに『もっともっとできると思ってやってほしいな』っていうのは、若い選手に話しました」
約１カ月、２軍で若手に交じって練習。ウエスタンにも出場した。伸び悩む高山、将来の大砲候補・井上らにも熱血指導した。あす８日から宮崎でのみやざきフェニックス・リーグが始まるため、この日で鳴尾浜での２軍練習は終了。“福留塾”も最後となった。
「１軍で活躍している姿を見たいですし、そういう風になるために何をするかってことを、自分でよく考えてやっていってほしいなと思います」
チーム内のコロナ余波で、福留は球団独自の濃厚接触者と判断されて９月２５日に出場選手登録を抹消された。１０月中旬に現場復帰したが、１軍に昇格することはなく、同１９日に球団から来季の構想外を通告された。
「今年は（コロナ禍で）特殊なシーズンでしたけど。その中で消化不良のところもありますけど。それも、また自分の野球人生なので」
今季は４３試合出場にとどまり、打率・１５３、１本塁打、１２打点。１軍の戦力として貢献できなかった。そのかわりに、若虎たちに“福留イズム”をたたきこんだ。言葉だけでない。ゴールデングラブ賞を５度受賞した守備でもお手本を示した。この日のシートノックで左翼を守り、最後はノーバウンドで捕手に返球だ。「僕があれをできるなら若い選手はもっとできると思う」。来季も現役続行を希望しており、まだまだやれることを証明した。
「体は元気なので。自分の気持ちが萎えなければ、（まだ）頑張れるんじゃないかと思っています」
トレーニングを継続しながら他球団からのオファーを待つ。（三木建次）
November 07, 2020 at 03:02AM
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