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サッポロビールがレシピ開発をDX、AIで作るチューハイは早くてうまいか - ITpro

tsukuru.prelol.com

全1767文字

 「DX(デジタルトランスフォーメーション)の大きなゴールの1つはAI(人工知能)との共存だと思っている。徹底的にAIを使っていくつもりだ」。こう語るのはサッポロビールの安西政晴改革推進部DX推進グループリーダーだ。同社を傘下に持つサッポロホールディングスは2020年、2024年までの経営計画をまとめた「グループ経営計画2024」を発表し、その中で初めてDXの推進を明文化した。グループとしてシンプルでコンパクトな企業構造を目指し、サッポロビール単体としてもDXによって機能・業務構造を変えていく考えだ。

 サッポロビールのDX戦略は大きく分けて3つのフェーズから成る。2021年からフェーズ1に相当する、コミュニケーションやサプライチェーン、工場などの改革に着手している。社内ネットワークを構築してコミュニケーションを円滑にしたり、サプライチェーンや工場で得られるデータを蓄積し分析する基盤を構築したりしている。現在はプロジェクトごとに進行度合いを考慮し、フェーズ1からフェーズ2へと移行している最中だという。

 サッポロビールは研究開発部門におけるDXで、これまで開発した商品のレシピや香り、味などの「香味データ」を収集し分析している。購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料である「RTD(Ready to Drink)」の新商品レシピを考案する機械学習モデルを日本IBMと共同で開発中だ。本番運用は2022年中を目指している。

1600件分の香味特徴とレシピを学習

 この機械学習モデルについて、サッポロビールの滝沢隆一商品・技術イノベーション部チーフイノベーションエキスパートは、「開発したい新商品のコンセプトを入力すると、それに合致するレシピを提案してくる。そんな斬新な機能を実現する」と語る。

 サッポロビールにおいて新商品を開発する際、まずマーケティング担当者が開発担当者に新商品のコンセプトを提示する。開発担当者は提示された商品コンセプトに基づいて原料の配合を調整し、商品の案を4つほどマーケティング担当者に提示する。その後マーケティング担当者が試飲し、開発担当者と協議を重ねて開発を進めていく。

サッポロビールが日本IBMと共同で開発中のAIモデルを活用して新商品を開発する際のフロー

サッポロビールが日本IBMと共同で開発中のAIモデルを活用して新商品を開発する際のフロー

(出所:日本IBM)

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 サッポロビールは酸味、甘味などの五味や、原料の香りなどの香味特徴を独自に数値化し、定量的に評価している。開発したい商品の香味特徴とコンセプトを機械学習モデルにインプットすると、モデルが原料のレシピを出力する仕組みだ。ただし商品のコンセプトはテキストで入力するため構造化されたデータではない。そのためモデルに学習させるのは難しい。

 日本IBMの佐藤和樹IBMコンサルティング事業部AI・データサイエンティストは、サッポロビールとの協業において「(構造化されていないデータである自然言語処理に対応するAIである)IBM Watsonの開発ノウハウが生きた」と話す。モデルの構築には、これまでサッポロビールが販売した商品や、開発したものの販売には至らなかった商品や香料などおよそ1600件分の香味特徴とレシピを学習させた。

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December 02, 2021 at 03:00AM
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