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「突起」作る人たちを応援 - 西日本新聞

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 「水平線上に突起をつくれ」-。昨年、デスクとして数多くの記事を読んだ中で最も印象に残った言葉だった。田川高(福岡県香春町)の有名な校訓だそうだが、「響きがクール。ロックの歌詞かよ」。同校卒業生で、町観光協会事務局長を務める西部知恵さんのインタビューの中で見つけた。

 西部さんに話を聞くと、校訓について「さまざまな強みを集め、何かしらの特徴をつくりだすこと」と解釈しているとのこと。平らに削られた「異様な山」の香春岳はあるが、他に観光資源が乏しい小さな町。地域の魅力を人々に訴える上で、心に引っかかる「突起」を作りだしたいという。

 グルメマップやグッズ、特産品の開発などの正攻法だけでなく、マニアックな地域情報や局員の日常など「ゆるい」動画を昨年だけで約50本発信。テレビでゆるキャラが急にしゃべりだす“禁じ手”も繰り出した。「どんなばかばかしいことでも全力で取り組んで注目を集める。小さな町だからこそできることがある」。なんともたくましい。

 デスク業務が中心で行政や教育などの担当を持たない。その中で「話を聞きたい、取材したい」と興味が湧くのは、西部さんのような「故郷を何とかしたい」と、奮闘する人たちだ。

 小竹町職員のオリジナルポロシャツを紙面で紹介した。デザインは旧産炭地のイメージから「MINER(炭鉱作業員)」に自虐的に「MINOR(より小さな)」をあしらったもの。反響を聞くと、テレビ局からも問い合わせがあり、「久しぶりにいいPRになった」と喜ばれた。

 「筑豊地区以外の県民から『小竹ってどこ?』と聞かれる」と職員も嘆く知名度の低さ。それを逆手にとったおしゃれなデザインは好評で、町民への限定販売も計画しているという。

 地域を思う人たちがたくさんいる。過去の勤務地では、空き店舗だらけの中心商店街でイベントを開いて1万人を集めた建築士や、特産品PRのためにはコスプレもいとわないエリート行政マンらに出会った。この筑豊版でも多くの人たちが紙面に登場し、地域への思いを語っている。

 根が無精者の私には、そういった人たちがまぶしくて仕方がない。新型コロナウイルスの収束は見通せず、将来が描きにくい時代。それでも地域の特徴となる「突起」を作ろうとする人たちを紙面を通じて応援していきたい。

◆梅津健哉(うめづ・けんや) 1973年、筑紫野市出身の47歳。96年入社。久留米総局、編集センター、大分総局、鹿屋支局(当時)を経て2020年8月に筑豊総局に赴任。コロナ禍で趣味のライブ鑑賞と飲み歩きができなくなり、ストレスがたまる一方。

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January 09, 2021 at 09:19AM
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