昨年8月に九州北部を襲った記録的大雨で深刻な被害を受けた佐賀県。流出した油混じりの水に漬かった大町町では、油の被害を乗り越えた農家が2年ぶりに水稲の収穫を迎える。武雄市の自宅が浸水、命の危機にさらされた一家は高台に居を移した。被災者は1年前の苦難から立ち上がり、新たな歩みを進めている。 【写真】高台のアパートに引っ越した一家も
家族支えに油被害越え
「収穫するまで分からんが、まあ一安心」。8月下旬、大町町福母の下潟地区。農家の灰塚晃幸さん(65)は田んぼで青々と育つ水稲を見て目を細めた。 昨年8月28日午前9時ごろ、冠水した水面に黒い筋が見えた。筋はみるみる広がり、1時間後には一面真っ黒になった。佐賀鉄工所大町工場からは約5万4千リットルの油が流出、農地約43ヘクタールの土壌に染み込んだ。数日後、水が引くと油の臭いが鼻を突き、若い稲穂は油で茶褐色になっていた。 灰塚さんは稲穂を焼却処分した。さらに約6ヘクタールの田畑の一部からは、県の基準で水稲の生育に影響があるレベルの油を検出。冬に石灰をまいて土壌改良し、何とか6月に田植えをした。
水没などで農機具を失い、床上浸水した自宅は解体。農業小屋の2階で寝泊まりする。農機具の買い替えや自宅再建で千数百万円の負担がのしかかる。 2年ぶりの収穫を前に不安もある。「インターネットで油被害のデマを流されるかもしれん。今後は風評被害が心配だ」 折れそうな心を支えるのは、後継ぎの息子や家族の存在と、「自分の米が一番うまかと思って作る」という情熱だ。
家族3人で高台に移転
水害から逃れるには高台しかなかった-。武雄市武雄町の住宅街の坂道を上ると病院職員、渡辺将人さん(31)が家族と暮らすアパートがある。 昨年8月の大雨時は同市北方町のアパートにいた。28日未明からの猛烈な雨で周囲は冠水し、妻葵さん(31)、長男覇翔(はると)ちゃん(2)と2階で過ごした。将人さんは車を高台に移そうとして、車ごと流されそうになる。28日朝には1階玄関の水位が胸近くに達した。葵さんは「水がどんどん2階に迫り、命の危険を感じた」と振り返る。昼頃、県警のボートに救助された。
被災直後から高台の物件を探し、10日ほどで今のアパートに移った。将人さんは「雨音を聞くだけで水に漬かる怖さを思い出す。水害はいつ起こるか分からない。家族を守るため常に避難について考えたい」と、覇翔ちゃんを優しく見つめた。 (河野潤一郎)
August 28, 2020 at 10:34AM
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油被害越え…「うまか米作る」折れそうな心支える情熱 佐賀大雨から1年(西日本新聞) - Yahoo!ニュース
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