アブシール遺跡で発見された壺。
Archive of the Czech Institute of Egyptology, photo Peter Košárek
- エジプトで史上最大規模とされるミイラ化のための道具が大量に発見された。
- 古代エジプトの謎に包まれたミイラ化プロセスの解明につながるかもしれない。
- この遺物の近くにあるミイラはこれから発掘されるが、豪華な儀式で埋葬されたと見られている。
エジプトのアブシールで遺体を防腐処理するための道具が大量に発見された。エジプトでの発掘史上最大規模のものとされ、約2600年前に行われた豪華な葬礼儀式を知る手がかりになりそうだ。
少なくとも370個の陶製の壺が発掘され、そのうちのいくつかには、神聖な動物の神の頭をかたどったふたが付いていた。これらはミイラ化のプロセスについてこれまでにない洞察を与える可能性があると、専門家はInsiderに語っている。
アブシール遺跡の防腐処理作業が行われていた縦穴から発見された壺。
Archive of the Czech Institute of Egyptology, photo Peter Košárek
「これは本当にエキサイティングで重要な発見だ」と、今回の研究には参加していないが、ワルシャワ・マミー・プロジェクト(Warsaw Mummy Project)のエジプト学者であるボイチェフ・エスモント(Wojciech Ejsmond)は、Insiderに電子メールで語っている。
「我々は何百ものミイラを見てきたが、防腐処理のプロセスに関してはまだ分からないことが多い」
このミッションを率いる考古学者で、チェコのプラハ・カレル大学の考古学教授であるミロスラフ・バルタ(Miroslav Bárta)によると、遺体の防腐処理のために縦穴を利用することは、古代エジプトで一般的に行われていたという。
地表から見下ろした防腐処理用の縦穴。
Archive of the Czech Institute of Egyptology, photo Peter Košárek
アブシールには、隣接するメンフィスにいた古代エジプトのエリートたちが埋葬されており、そこにある縦穴は、特に遺物が豊富なことで知られている。
このような縦穴は「ミイラを作るための『レシピ本』とも言える」とエスモントは言う。
今回発掘された縦穴の近くにある、高位の将軍だったメネキブネカウの墓は、2003年から発掘が行われ、その防腐処理用縦穴からは、約300の壷などが発掘された。
一方、古代エジプトで最も繁栄した時代のファラオであるツタンカーメン王の墓地にある縦穴からは、12個ほどの遺物しか見つからなかったという。
メネキブネカウの縦穴は「ミイラ化のプロセスを詳述した古代の文書がないだけに、すばらしい情報を提供してくれた」とエスモントは言う。
「チェコの研究者チームによる今回の発見は、大きな可能性を秘めている。バルタ教授の言うように、防腐処理の一連の流れを解明できるかもしれない」
墓地を上空から捉えた写真。左側に防腐処理用縦穴のの入り口があり、その右隣にまだ発掘されていない埋葬室がある。
Archive of the Czech Institute of Egyptology, photo Peter Košárek
今回発掘された防腐処理用の縦穴のサイズは約5メートル四方、深さ約15メートルで、バルタによると異常なくらい大きいという。縦穴に隣接する埋葬室も広大であり、約14メートル四方で深さは20メートル以上となっている。
この埋葬室はまだ発掘されておらず、誰が埋葬されているのかよく分かっていない。
しかし、墓がある場所や防腐処理用縦穴の豪華さから、紀元前6世紀頃の最高位の要人が埋葬されていると考えられている。おそらくファラオに近い男性の神官や将軍、あるいは官僚であっただろうとバルタは言う。
発掘された壺の1つには、「女神ネイトに愛された王」と訳される「ワヒブレ・メリー・ネイト」と記されたものがあり、これが埋葬された人物の名前である「可能性が高い」と、発掘に携わったカレル大学のエジプト学教授であるラディスラフ・バレス(Ladislav Bareš)は述べている。
アブシールの防腐処理用縦穴での発掘作業の様子。
Archive of the Czech Institute of Egyptology, photo Peter Košárek
アブシールで見られるこのような富と過剰なまでの労力や財力の投入は、当時のエジプトの緊迫した政治状況と関係があるのかもしれないと、バルタは見ている。
「このアブシールの墓地の縦穴は、崩壊しつつある社会が、それを防ぐための新たな手段を見出そうと必死だった様子を示すすばらしい事例だ」
紀元前6世紀頃、エジプト文明は衰退の一途をたどっていた。近隣のギリシア人、ペルシャ人、ヌビア人が支配権を狙い、エジプト人の生活が脅かされていた。
その頃、古代の神聖な儀式が復活し、伝統的な葬儀を入念に再現したり、多くの神聖な動物を再び崇拝するようになったという。
「あらゆる文化においてそうであるように、古代エジプト人も外部からの攻撃にさらされたとき、自らのルーツに立ち戻ったのだ」とバルタは言う。
「これはもちろん、人類学的に極めて興味深い行動だが、ほとんどの場合失敗しており、古代エジプト人の場合も失敗だった」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)
March 02, 2022 at 07:00AM
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