柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第103回
2021年11月19日 09時00分更新
サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第103回では、SNS投稿を添削するアプリを作る方法について紹介する。
筆者が経営している飲食店では、SNSの投稿やプレスリリースなどすべての情報発信を本人とは別の人のチェックを受けてから行っている。どんなにバランス感覚がある人でも、100回1000回と発信していると、とんでもないことを書いてしまうことがあるからだ。これは、創業以来10年間、ずっと続けており、おかげで、ブランディングを毀損するような投稿をせずに済んでいる。
文章添削には創業当初はサイボウズLiveというグループウェアを利用していたのだが、サービス終了に合わせ、ビジネスチャットサービスを導入。日常のコミュニケーションに加えて、この文章添削もチャットで行なっていた。とても楽で問題なかったのだが、情報が蓄積せず、流れてしまっていることが勿体なく感じてきた。
日々行なっている大量の添削結果をできればストックし、従業員全体で共有することで、さらなるレベルアップを図りたくなった。そこで、今更ながら、文章添削の業務フローをkintoneに移行することにした。
ビジネスチャットでは、「添削」チャンネルに文章を投稿するだけ。必要に応じて使う画像もアップする。それを見た筆者がスレッドで感想や修正指示を書いたり、問題なければ「OK」を出す。簡単な修正であれば、リライトする。その上で、執筆者は修正箇所を確認し、実際に投稿するという流れだ。
そこで「添削」アプリを作って「添付ファイル」と「文字列(複数行)」のフィールドを設置した。要素としてはこれだけだったのが、即使いにくいことが判明。
これまでは投稿された本文をコピーして、筆者が添削していたのだが、kintoneのレコードを修正してしまうと元の文章がわからなくなってしまう。そこで、添削するフィールドも追加し、本文を入力したら、コピー&ペーストしてもらうことにした。投稿者の手間を省きたかったが、アプリアクション機能では対応できずに手動でお願いすることに。
また、投稿するSNSや伝達事項は、チャットの場合、本文の前に書いていた。kintoneではコメントでやりとりすればいいと思っていたところ、スマホで添削する際に気がつかないことがあった。そこで、新たにSNS種別と伝達事項のフィールドを用意した。
運用を開始したところ、どの投稿が未添削なのかわからず、使いにくいことが判明。プロセス管理で投稿のステータスを管理することにした。「添削依頼」ボタンを押すことで、「添削中」となり筆者に通知が飛び、添削したあと、「添削済み」として完了させるか、もしくは「再添削」で差し戻すようにできれば、迷わず業務を進められるはず。
アプリの「設定」タブから「プロセス管理」を開き、「プロセス管理を有効にする」にチェックし、4つのステータスを作成する。続いて、「プロセス」でステータスごとにアクションボタンを用意する。添削したあとは、「添削済み」と「再添削」のボタンを用意し、それぞれのステータスを設定するのを間違えないようにする。
これで、kintoneに通知が来たら、URLを開いて添削し、保存。アクションボタンを押すことで添削を完了できるようになった。従業員のほとんどはスマホアプリでkintoneを使っているが、今回のアプリはスマホでも問題なく利用できる。
SNSの原稿を入力してもらうと、筆者に通知が来るので、その通知をクリックするとレコード画面が開く。編集ボタンを押して添削し、保存をクリック。プロセス管理の「添削済み」ボタンを押して完了だ。
kintoneに不慣れな人のためにラベルフィールドで使い方を書き、毎回表示するようにしている。表示領域は取られるがその分誰でも使えるので問い合わせが減り、利用頻度が向上した。
実はこのアプリは筆者ではなく、社内のkintone担当に作ってもらった。まったくの未経験者でも、数ヵ月で試行錯誤しながら業務アプリを作れてしまうのがkintoneの凄いところ。
レビューや申請、承認などのフローをメールやチャットで行なっているなら、kintoneアプリ化してストックすることを検討してみてはいかがだろうか。データの利活用やナレッジの共有など、メリットは大きい。
November 19, 2021 at 07:00AM
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