こんにちは。プロダクトデザイナーときどき料理人、ツジメシこと辻村哲也です。
「ツジメシの日常メシと週末メシ」、今回は週末メシということで、土日で作るシンプルな塩ラーメンをご紹介します。
本格的なラーメンって、手間と時間がかかり、普段使わないような材料がたくさん必要な、典型的な「お店の料理」ですよね。僕はそれをいかに家で手軽に作れるかを考えるのが好きだったりします。
前にも豚を使った醤油ラーメンの作り方を書きました。
今回は鶏肉を使った、よりシンプルな塩ラーメンです。
醤油や味噌と違い、うま味や香りのない塩だけの味付けながら、乾物と鶏の調理の仕方で美味しい塩ラーメンを作る方法を考えました。
ポイントは
・乾物から効率よくうま味を抽出する
・鶏肉からスープにうま味を出しつつ同時に肉自体も美味しく仕上げる
・出し殻の乾物も美味しく食べきり、ゴミが少ない
です。
レシピは基本1人分の量で書いていますが、鶏肉と玉子はついでに倍量で仕込んでいます。残りはおつまみにするか、翌日の昼にでも「ラーメン屋のまかない風丼」にしてみてはいかがでしょう。
工程はこんな感じです。
料理用の温度計があると作業が楽ですが、なければないでなんとかなりますよ。
ツジメシの「鶏塩ラーメン」
材料
前日仕込み用
- 水 400ml
- 煮干し 20g
- 昆布 5g
- 干しエビ 3g
- 鶏もも肉 200g
- 塩 4g(小さじ2/3)
- 玉子 2個
- 水 大さじ1
- ナンプラー(または醤油) 小さじ2
- 鶏ガラスープの素 小さじ1/2
当日用
- 生姜スライス 3-4枚
- 長ネギ 白い部分 10cm
- 長ネギ 青い部分 適量
- 塩 1g(1-2つまみ)
- サラダ油(あれば太白ごま油) 大さじ1
- 中華細麺 1玉(110g)
- 小松菜 1/2株
- 長ネギ 小口切り 適量
- カイワレ 適量
- 赤唐辛子 小口切り または糸唐辛子 適量
出し殻和え用
- 醤油 小さじ2
- 酢(あれば黒酢) 小さじ1
- ごま油 小さじ1
作り方
まずは前日の仕込み。
水に煮干し、昆布、干しエビを浸して冷蔵庫に入れておきます。
(写真では煮干しは大きめのもの、小ぶりのもの(食べやすい)を混ぜて使っていますが、どちらかだけでもOK)
鶏もも肉に塩を揉みこみ、ラップをしてこれも冷蔵庫へ。肉に塩をしておくことで、スープに入れて加熱したときに味が抜けすぎずスープも肉も美味しく仕上がります。
玉子をやわらかめの半熟に茹でて(沸騰したお湯500ml程度に冷蔵庫から出した玉子をそっと入れゆっくり沸騰するくらいの火加減で7分茹でて冷水で冷やす)殻をむき、ポリ袋に水、ナンプラー、鶏ガラスープの素と一緒に入れて空気を抜いて口を閉じ、これも冷蔵庫へしまっておきましょう。
さて当日。
1日水に浸した乾物はこんな感じに。昆布が大きくなり、水がうっすら色付いています。
直径16cm程度の鍋に煮干し、昆布、干しエビを水ごと、生姜のスライス、長ネギの白い部分と青い部分を入れ中火にかけます。
60-70度程度(出汁がよく出る温度)を30分ほどキープします。
温度計があれば65度まで上がったら火を止め蓋をして放置、10分後に弱火にかけ、また65度で火を止め蓋をして放置、を2回繰り返します。
温度計がない場合は「指を数秒入れられる温度」が60度とされていますので、参考にしてください(くれぐれもやけどには注意してください)。
30分経ったら、再度中火にかけ、今度は一旦沸騰させます。
鍋に塩を加えたら、鶏もも肉を皮を上にして入れ、蓋をして弱火にして2分火にかけ、火を止めそのまま30分置きます。
アクは適宜取り除いてください。汁気を捨てると分量が変わるので網タイプのアク取り使用をおすすめします。ない場合は捨てた分の水を足しましょう。
30分後、こんな感じに。
ここで鶏肉、ネギ、昆布、煮干し、干しエビを取り出します。
うま味の出た汁気はもったいないのでしっかり切って鍋に戻しましょう。
取り出した出し殻も美味しく食べますよ。
昆布は細切りにし、煮干し、干しエビと一緒に、醤油、酢(黒酢)、ごま油で和えておきます。
余熱で調理した鶏肉はぶりんぶりんに。このままでも美味しいですが、ラーメンらしく香味油を作りがてら、もう一手間かけます。
小さめのフライパンにサラダ油(または太白ごま油)を引いて中火で温め、鶏肉の皮側だけを焼きます。
このときネギの青いところ(分量外)も横に入れておくとさらに香りがいいです。
皮がこんがり焼けたら取り出します。
これで鶏肉は中はしっとり皮はカリカリになり、鶏の香りの香味油もできました。
さて仕上げに入ります。
細麺なので麺を茹で始めたらあっという間。慌てないようにもろもろ用意をしておきましょう。
麺を茹でるお湯(1人分1000ml~1500ml程度)を沸かしつつ、長ネギの小口切り、カイワレを用意します。お湯が沸いたら丼に少し注いで温め、麺の前に小松菜を20-30秒茹で、水にさらしてしっかり搾り、4-5cm長さに切っておきます。
鶏は半量を1cm厚さにスライス、玉子1個を漬け汁から取り出し半分にカットしておきます。
スープはこの時点で300mlほどになっているはずです。もし少ないようなら水を足してください。多少多いぶんには問題なし。スープの鍋を中火にかけて温め、味をみて塩で調整します。(分量外、ひとつまみ程度でいいはず)
ここまで用意できたら、麺を好みの硬さに茹でます。
丼のお湯を捨て、鶏を焼いた香味油、温めたスープを注ぎます。
茹で上がった麺をしっかりと湯切りして丼に加えて軽くほぐし、
鶏、玉子、小松菜、長ネギ、カイワレ、赤唐辛子を乗せて出来上がりです。
熱々のうちにどうぞ。
淡くてじんわり美味しい、透き通ったスープ。香味油でラーメンらしさもしっかり。細麺がよく合います。
出し殻の和え物はそのままおつまみにしても、ご飯に乗せ「出し殻ご飯」にしてラーメンに添えても。(アクセントにごまを少しかけました)
出し殻がほどよい食感で、これがなかなかいけます。
翌日は残りの鶏肉と玉子で丼にすると2度楽しめます。
ご飯の上に炙った焼き海苔をちぎって敷き詰め、上に具材を乗せました。1日置いてさらに味のしみた煮玉子と、しっとり鶏肉はご飯にも合いますね。しょうゆを垂らしたり、わさびを添えても美味しいです。この日は小松菜の余りを味噌汁にしてみました。
ちょっと手間ですが、これでおつまみやもう1食分が用意できると思えばお得感もあります。
ぜひお試しください。
作った人:ツジメシ
本名は辻村哲也、ツジムラの飯でツジメシです。本業は各種製品を手がけるプロダクトデザイナーながら、料理好きが高じて間借り飲食店でも料理中。手抜き日常食からマニアックな料理まで図解したレシピが人気。著書に『付箋レシピ デザイナーときどき料理人のスケッチごはん』(アース・スターエンターテイメント)。
November 19, 2021 at 07:00AM
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