広告メディアビジネスの次世代型モデル“AaaS(Advertising as a Service)”を提唱し、博報堂DYグループは新しい時代を創出していこうとしている。
AaaSの強みは、単なるソリューションの提供だけでなく、人を介したコンサルティングによって付加価値を生めることだ。
その“人”であるプラナーの集団、博報堂DYメディアパートナーズの統合アカウントプロデュース局で部長を務める長瀬大仁朗に話を聞いた。
できることを探し、磨き上げた営業とメディアプラニングの二刀流
─これまでの仕事の歩みをお聞かせください。
長瀬:2004年に入社し、最初は営業(ビジネスプロデュース)職配属でした。飲料会社の制作営業を行うポジションで、ブランディング設計からテレビCM・デジタル・店頭ポスター・POPなどの制作まで、一つの商品を題材に幅広い経験ができました。ただ、そのチームはスター揃いでして、入社したばかりの私はなかなか活躍できなかったんです。
そのようなときに「自分にできることは何か?」 と考えてデジタルの領域を頑張ったんです。ブランドサイトを作ったりメールマガジンの文面を書いたり。できることを自分で広げていきました。
その延長で、メディアプラニングもやるようになりました。当時、マーケティングやクリエイティブをやりたい社員が多くて、メディアプラニングをやりたがる人が少なかったんです。
だから“自分にできること”として始めたんです、企画書を出すぐらいの小さいことから。そののちメディア戦略のチームができて組織も力を入れ始め、“半分営業・半分メディアプラニング”みたいな働き方を9年目ぐらいまでやりました。
その後、関西に異動になったのですが、ビジネスプロデューサーの現場にはメディアプラニングができる人が少ないのに加え、東京に比べて関西支社は人数が少ない。そのため、年次の割には多くの業務に参加でき、メディアプラニングの力も関西勤務時代に磨かれたと感じます。
そののち博報堂DYメディアパートナーズ(以下、MP)にきて、今の統合AP局に至りました。
機械にはできない、人だからできる仕事をする
─統合AP局の役割や機能を教えてください。
長瀬:博報堂グループにおいて、媒体社やプラットフォーマーと向き合うための組織がMP。ただ統合AP局は、MPの中では主にクライアントに向き合う部門です。ですからメディアマーケティングの専門性が求められる広告主の対応は、ビジネスプロデューサーとMPの統合AP局のメディアプラナーがコンビで行います。
メディアビジネスが変革している中、業界をリードするための競争戦略の一つがAaaSであると捉えています。コストや技術の投資により、データやテクノロジーを活用できる基盤は今後も増えてくるでしょう。
しかし全自動化はまだまだできない。広告主の課題をプラナーがじかに聞いてテクノロジーの目利きをしながら、マーケティング効果を出してビジネスを回していく必要があると考えています。
─統合AP局のチーム体制やメンバーについて教えてください。
長瀬:二つの領域に大きく分かれています。一つは定常的なクライアントとのパートナー並走案件。メディアプラニングを専門家に依頼したいとの需要に対応するチームです。
もう一つは競合プレゼンをメインでやっていくチーム。戦略・制作・メディアの競合プレゼンや、TVとデジタルそれぞれに特化した競合プレゼンなど細分化もされています。パートナー並走をやりつつ、ピッチ対応もして領域を広げている人も中にはいます。
統合AP局のメンバー構成は、プラナーとテレビやデジタルを中心とした新しいメディアの業務推進担当者が半々ぐらいです。そのプラニングと業務推進の双方の文化の掛け合わせがあって、冷静な部分と熱い部分とが両方あるおもしろい局だと思います。
自分の専門性を持ちつつ、いろいろな人と交わることが好きな人は、統合AP局のカルチャーに向いているかもしれません。
─社内ではどのような人と協業しますか。
長瀬:ビジネスプロデューサーだったり、ストラテジックプラナーだったり。デジタルやテレビなどメディアのスタッフとも協業します。あと制作スタッフと一緒に競合プレゼンに参加をする機会もありますね。
─AaaSの将来像や課題は何だと思いますか。
長瀬: “as a service化”を競争戦略に掲げ、旧来のやり方から脱却し、次のメディアビジネスを作る必要があります。次のメディアビジネスを作るための要素は、データとテクノロジー、あとは人。つまりプラナーだと私は思います。
ビジネスの転換に向けたチャレンジは、不安定でよくわからない。現場からもいろいろ言われます。
だから不安定な状況を楽しめる人が必要です。データやテクノロジーなどを含む広義のデジタル利活用を楽しめる人。コードやビッグデータにフレンドリーで、新しい領域に常にトライしている人。なんなら開発のフィードバックができる人なんて、非常に強い。
ただ直近の課題は、目の前のピッチ対応かもしれません。メディアプラニング領域の依頼がどんどん来るので、勝率を上げながら、未来につながる仕事もしていく必要があります。ピッチが急に発生することもあるので、予想外の出来事を楽しめるメンタルの強さもあるといいかもしれないです。
人に会うことが、今もこれからも重要
─どのような働き方をしていますか。
長瀬:テレワークと出社が3:7ぐらい。会社の方針にならい、さらにプラニングは個人の作業ワークもあるため、ベストプレイスでやっている感じです。
規定の計画を遂行するだけなら100%テレワークでいいかもしれません。ただし新しく何かをやるときは、フェイス・トゥ・フェイスの方が早いこともあります。新しいアイデアを出したり、新メンバーで急速にチームビルディングしたりするときは、対面の機会を意識して作るようにしています。
─対外的な働き方についての意見もお聞かせください。
長瀬:効率の最適化以上の仕事を私たちはしていかなければなりません。そのため媒体社やプラットフォーマーと密に連携をとる必要があると考えています。媒体社には制作能力もあるのでコンテンツやコンテクストを一緒に作ったら、ひと味違うメディアプランが設計できます。さらに広告効果も生まれるし、何より楽しい。
プラットフォーマーの方と話しても、私にはない視点でのアイデアが出てきて非常に刺激されます。社外の人、特にメディアサイドの人と会う機会を意識して作ろうと考えています。社内に閉じた従来型のメディアプラナーから変わる必要があると、自戒の念も込めて言いたいです。
─仕事の仕方をどのように変えていきたいと思われますか。
長瀬:効率化や計算は、機械に代替すればいいと思っています。機械では難しいほかの部分、人と会って得られた気づきを活かしていく部分やファジーな部分が求められてくるのではないかと思っています。違う言い方をすれば、そのような部分で価値が出せる。
局の垣根を超えてどんどんコラボをしていきたい。その方が楽しいと思うんですよね。なんかワクワクするじゃないですか。そういう働きかけをしていきたいです。
OJTで、勢いやその人らしさを伸ばしていく
─どのような人に入社してほしいですか。
長瀬:端的に言えば、一緒にチャレンジしていける人ですかね。新しいことを楽しめる人やデータとテクノロジーにフレンドリーな人はさきほど紹介しましたが、あとはコラボをうまくしながら“大きな石を動かせる人”が向いていると思います。
一人でやれることには限界がありますから。個人作業よりチームで協業する方が好きな人や組織に貢献したいと考えられる人に、ジョインしてもらいたいですね。
私たちも、キャリア入社者の方にいち早く活躍してもらえるように、その環境を提供できるように心がけています。いろいろな教材があったり、ナレッジ集にアクセスできたりと、勉強ツールも揃っています。
なので、最初は真似ることから始めても大丈夫です。チーム員には、比較的若いメンバーもいるので、一緒に成長できると思いますよ。個人のノウハウが共有されると、組織はもっと強くなります。ですから入社後は、そのよいサイクルに貢献できる人になってほしいですね。
─キャリア入社者は活躍していますか。
長瀬:活躍していますよ。私がOJTを担当した、近接業種からお越しいただいた方は、前職とのギャップを埋めるために食らいついてくる感じがすごい。時間が空いたら積極的に質問などをしてくるんですよ。そういう姿勢が成長のスピードにつながると、私も勉強になりましたね。
テレビのビジネスモデルや現場での作法をわかった状態で、その人は入社してきました。プラニングの経験を積んでギャップを急速に埋めているので、テレビも広告もハイブリッドでわかる貴重な人材に育ちつつある。
博報堂DYグループとは関係ないバックグラウンドから来ても、大きく成長する可能性は十分にあると確信しています。もちろんデジタル専業の代理店からのキャリアチェンジも大歓迎です。
─キャリア入社者の比率を教えてください。
長瀬:全体の3〜4割ぐらいと、キャリア入社者は多いです。ただ新人も多くて、若い組織だなと感じます。私の部では4人ぐらい新人が入っているんです。
年齢は、20代後半がほぼほぼですね。2019年度の新卒入社者が中央値になるぐらい。20代後半以上のキャリア入社者には、慣れてきてからゆっくりでいいので、後進の育成を一緒にできたらいいなと期待しています。
─どのように育成を行っていますか。
長瀬:OJTが基本ですね。メディアプラニングの基礎的な部分と博報堂ならではの部分、あとはその人なりの強みの部分。3段階に分かれていると考えてみてください。 未経験の人もいますので、まずは基礎的な部分から丁寧にOJTをやっていきます。
ただしキャリア入社者の中には、基礎的な部分が備わっている人もいますよね。ですから経験に応じて並走期間を設計しているのも工夫と言えるかと思います。
メディアマーケティングの経験がある方が今後キャリア入社されるのですが、その人はメディアプラニング経験も十分にあると思うんです。ただし博報堂DYグループやAaaSについては時間をかけて学んでもらう必要があります。博報堂DYグループのチームワークの仕方やAaaSソリューションの仕組みについてOJTを通してキャッチアップしてもらおうと考えているところです。
最後に挙げたその人なりの強みの部分、興味や専門性などは、対話をしながら見つけていきたいと思っています。そこから適材適所でアサインをして、協業者と一緒になにかを作っていってもらえるといいなと考えています。
チームプレーで新しいメディアビジネスを育もう
─キャリア入社を考えている人にメッセージをお願いします。
長瀬:AaaSのようなデジタルツールを利活用しながら、チームプレーで新しいメディアビジネスを作っていきたいと考えています。私たちもチャレンジをしている段階です。ぜひ一緒にAaaSを盛り上げて、新しいメディアビジネスを作っていきましょう。
※本記事は「採用リーダーが語る」からの転載です。
●統合メディアプラニングディレクター・プラナーのエントリページはこちらからご確認ください。
●統合メディアプラニングディレクター・プラナーの「現場社員への一問一答」はこちらからご確認ください。
November 28, 2022 at 09:00AM
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