終活が一般的になり、生前に自身の葬儀を手配する人も増えている。自分らしい最期のお別れができるよう、遺影を用意したり、告別式で流す音楽を決めたり、祭壇のデザインをする人も少なくない。
しかし、自分自身が入る棺についてはどうだろうか? 火葬を行う観点から素材なども限られ、棺に入れられるものにも制限があるため、既成の棺から選ぶことが一般的だ。
「最期に見送られる時こそ、自分らしく、オリジナリティあふれる棺に入りたい...」と願う人もいるのでは?
そこで「テレ東プラス」は、オーダーメイドの棺を制作している、棺作家の布施美佳子さんを取材。オリジナルの棺を制作するようになった背景や、布施さんが制作活動と並行して実施している「入棺体験」のワークショップについてなど、話を聞いた。
▲棺作家の布施美佳子さん
自分が「入りたい」と思える棺や骨壺
――どれも、そのままインテリアになりそうな素敵な棺ばかりですね。そもそも布施さんが、オリジナルの棺などを作るようになった背景には、何があったのでしょう?
「私は今、49歳なのですが、20代の頃から、友人や知人が若くして亡くなることがありました。葬儀に参列する度、故人の生前の人柄や"らしさ"と乖離していると感じることが多くて...。喪主であるご家族の悲しみが強すぎて余裕がないというのは、すごく理解できるんです。でも、自分が死んだ時に、『自分らしさが伝わる棺桶や骨壺に入りたいな』と。
そうしたことが重なり、自分の最期について考えておいた方がいいと思いました。送る側も『頼まれたことができた。成し遂げてあげられた』と思えれば、少しは楽な気持ちになれるかと」
▲キャンディポットのような愛らしい骨壺。蓋には遺影をセットすることもできる 写真提供:布施美佳子
――実際に作品制作を始めたのは、いつ頃からですか?
「メーカー勤務時代に希望を出してグループ会社に出向した際、当時の上司にやりたいことを聞かれて、たくさん出した企画の中に葬儀ブランド事業がありました。
偶然、その上司が映画『おくりびと』のモデルになった納棺師の方と繋がりがあったんです。いろいろとお話が聞けて、1年ほど葬儀業界の勉強をし、2015年に新規事業としてインテリアに馴染む骨壺のブランドを立ち上げました。
当時はまだ終活という言葉も一般的ではなく、その後、出向先からメーカーへ帰任。コロナ禍の影響で、葬儀が家族葬中心になるなどの変化を感じるうち、お骨を納めるのは『骨壺に限らず、気に入った素敵な器でいいのでは?』と思うようになりました。それで次は、『かわいい棺桶を作りたい』と。メーカーでも引き続き、葬儀ブランド事業を模索したのですが難しい面もありました。そこで昨年、早期退職し、オーダーメイドの棺作りや生前葬などの企画・プロデュース、終活のワークショップ他、自分で活動を始めました」
「入棺体験」を通じて得られる大きな気づき
――布施さんのアトリエでは、作品の制作などと並行し、さまざまなワークショップを実施しています。実際に棺に入ってみる、「入棺体験」を希望する人が少なくないそうですね。
「私自身が友達のところで初めて入棺体験をした時、すごく不思議な気持ちになりました。すぐ横で、板1枚隔てた周りで人が話しているのに、自分だけが違う世界にいる感じがする。1分とか3分とか、とても短い時間なのに、長く感じる...。そして蓋を開けられた時、『生き返った』とか、『生まれ変わった』ように思えたんです。
人によってリアクションは違いますが、生に対してポジティブな気づきを得る人が多いですね。例えば、『全然悔いがないように生きている』『いつ死んでもいいや』と言っていたのに、入棺体験をして『何だか、やり残したことが出てきた...』となる人が多くいます。入棺という"仮の死"を体験することで、意識に変化が生まれるようです。
棺桶というと特別な感慨がありますが、客観的には"単なる箱"なのに、そういう感覚になる。本当に『不思議な箱』というか、一つの箱に入るだけで、そう思える人間の想像力もすごいな...と感じますね」
▲花をあしらうなど、最期のお別れの時のように、入棺体験のサポートをする布施さん
――棺に入ることで、改めて「生きること」への気づきが生まれる。不思議ではあるけれど、"仮の死"を体験することでの意識の変化というのは、わかる気がします。
「若い世代でも関心を持ってくれる方が増えています。"映える"という概念が出てくる前から、フォトジェニックな要素を感じて興味を持つ人も少なくなかったですね。ファッションのような感覚でも構わないと思うし、ポジティブに入棺体験をしてほしいと考えています。ちなみに、私が知る限り都内だけでも2つ、入棺体験イベントを実施している団体があり、大阪には『自分が望む死に様を撮影できる』撮影スタジオもあります。
そうしたイベント以外でも、例えば悩んだり、行き詰まったりして希死念慮がある時。実際に行動に移すのではなく、 "仮の死"を体験することで、見えてくる気持ちもあるはずです。重く考えるのではなく、『その前に、ちょっと棺に入った写真を撮ってみよう』くらいの気持ちで、入棺体験をしてもらえればと思います」
November 26, 2022 at 07:01PM
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