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「木造建築」で新たな市場を作る。住宅メーカーたちの挑戦の行方|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch

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住宅メーカーなどによる木造建築物の挑戦的な試みが相次いでいる。アキュラホーム(東京都新宿区、宮沢俊哉社長)は、普及価格帯で工期も短い木造8階建ての本社屋の建設計画に着手。大東建託は住宅では珍しい直交集成板(CLT)を活用した戸建注文住宅の試験販売を始めた。政府が2050年の脱炭素化を目指す中、木材は成長過程で二酸化炭素(CO2)を吸収するエコな素材として活用に向けた取り組みが加速している。(大城麻木乃)

アキュラホームは通常、純木造なら坪(3・3平方メートル)350万円前後かかるところ、同150万円程度に抑える中層の木造建物の建設に挑む。中大規模の木造建物はゼネコン各社も開発を進めているが、価格が高いのが普及の課題になっている。同社は価格を押し上げる一因に、既存の木造は構造に鉄骨を利用して木のパネルで被覆したり、梁や柱などの接合部に特殊金具を使っていたりする点に着目。可能な限り鉄骨や特殊金具を使わずに「伝統的な軸組み工法を生かすことでコストを抑える」(宮沢社長)方針だ。

懸念されるのは強度。金具などを使うのは、強度を高めるために実施する。この点に関し、同社は木質構造研究の第一人者、東京大学の稲山正弘教授や組子構造に詳しい建築家の野沢正光氏らと連携し、強度解析のシミュレーションを積み重ねるほか、設計の工夫で解決する方針だ。

工期も金具などを使った特殊工法の場合、5階建て以上の純木造なら4年程度かかるが、伝統工法なら2年半に短縮できるとみる。本社屋は22年に着工し、24年度の完工を予定。自社の建物で「普及型純木造ビル」のひな型をつくり、建設ノウハウを中小工務店に公開して「全国津々浦々に木造ビルを広めたい」(宮沢社長)と意気込む。

大東建託は関東限定でCLTを活用した一戸建て住宅の試験販売を始めた。CLTは木材の軽さとコンクリート並みの強度を併せ持つ建材として、さまざまな建築物への活用が期待されている。だが、国内のCLT戸建住宅はモデルハウスのみにとどまり、完成実績はほとんどない。普及に向けた課題は価格だ。同社は「試験販売を通じて適切な価格帯を探りたい」(広報)という。販売結果を踏まえ、22年度以降に本格展開するかを決める。

三菱地所や竹中工務店など7社が出資して設立した会社、メックインダストリー(鹿児島県霧島市)は、自社でCLTや木造枠組み壁工法(ツーバイフォー=2×4)材を製造し、工場で大部分を作り込むプレファブ式のCLT戸建て住宅を計画中。7月に住宅などをつくる製造棟を完工し、22年4月に丸太から木板などをつくる製材棟を稼働させ本格的に動きだす。延べ床面積100平方メートルで900万円程度と、1000万円を切る規格住宅の販売を目標とする。

普及価格帯の住宅やビルが出てくることで、木造建物が日本で一気に広がることが期待される。

日刊工業新聞2021年11月2日

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