コーチビルディングの“今”と“昔”
ひと目見ただけで巨大で、そして高級であることが知れる1台のコンバーティブル・カー。ロールス・ロイスが生み出したこのモデルは「ボートテイル」と名付けられ、わずか3名の幸福なオーナーのもとに送り届けられることが決まっている。 さぞかし高価であるに違いないボートテイルは、いかにして生まれたのか? その背景を説明するには、まず、ロールス・ロイスが伝統的に得意としてきたコーチビルディングについて語らなければならない。 コーチビルディングは文字どおりコーチ(馬車)を作ることを意味していた。そして、かつて馬車を製造していたコーチビルダーは自動車の発展とともに自動車用のボディを作るようになり、イタリア語でカロッツェリア、フランス語でカロッセリーとも呼ばれるコーチビルダーは、自動車の車体の設計・製造者を意味するようにもなった。 かつてロールス・ロイスは、シャシーとドライブトレインを組み合わせたローリング・シャシーを製造し、これにコーチビルダーが製作したボディを組み合わせて1台の自動車としていた。同様の手法は多くの高級車メーカーでも採り入れられていたが、コーチビルダーは同じボディを何台も生産することもあれば、顧客の要望に応えて1台限りの特別仕様車(ワンオフ・モデル)を作り出すことも少なくなからずあった。 1930年代に入るとコーチビルディングの文化は大きく開花し、超富裕層は、巨大なボディに大胆なデザインを施したワンオフ・モデルを競い合うようにして製作。その豪華さとセンスを、淑女やペットとともに披露して争うコンククールデレガンスと呼ばれるイベントが各地で開催されるようになった。 ところが、戦後になって高級車の世界にも大量生産の波が押し寄せると、次第にメーカーは標準ボディを社内で製作するようになり、コーチビルディングの文化も衰退。かつてのような壮麗なワンオフモデルは、ときたまモーターショーなどで展示される程度で、ほとんど製作されなくなったのである。 いっぽう、近年は“つるし”のクルマに飽き足らなくなった顧客の間で、カタログモデルを自分好みにモディファイするパーソナライゼーションやビスポークといったプログラムが好評を博すようになっている。 実は、フェラーリを始めとするラグジュアリーカーブランドのなかには、表立ってではないにせよ、1台限定のワンオフやスペシャルボディを数台程度製作する“フューオフ”というプログラムを受け付けているところもあるが、ロールスロイスが2017年に“スウェプテイル”という名のワンオフモデルを発表したところ、これに対して予想を上まわる反響があったため、ロールス・ロイスは社内にコーチビルディング部門を設立することを決定した。この新部門で製作された1作目が、ここで紹介するボートテイルだったのである。
May 27, 2021 at 07:09PM
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