国内、そして世界のカーオーディオブランドの中から、特に注目したいメーカーの1つ1つをクローズアップしている当シリーズ。第4回目となる当回では、イスラエルの実力ブランド“モレル”にスポットを当てる。これならではの魅力とラインナップを詳細に解説していく。
創設者の「理想のスピーカーを作る」という思いが、数々の名機を生み出す原動力に!
地中海の東側に位置するイスラエルに拠点を置く“モレル”は、ヨーロッパを代表する一大スピーカーブランドのうちの1つだ。
設立は1975年。メイヤ・モルデハイ氏によって創設されている。以後“モレル”は、氏の「理想のスピーカーを作る」という熱い思いにけん引され社史を紡いできた。ちなみにブランド名の“morel”は、「モルデハイ・エレクトロ・アコースティック」から派生したものだ。
ところで“モレル”は近年パワーアンプもリリースしたが、製品の主体は設立当時から、そして今もスピーカーだ。ホーム用カー用ともに、超ハイエンドモデルからエントリー機まで多彩に展開し、世界中の愛好家から厚い支持を集めている。
では、日本国内で販売されているラインナップを駆け足で紹介していこう。
トップエンドとして頂点に立つのは、マニア垂涎の高級ライン『スプリーモ』シリーズだ。当シリーズには、パッシブクロスオーバーネットワークの有る無しで2種の2ウェイコンポーネントシステムがあり、さらにツイーターの名機『スプリーモ ピッコロ ll』(税抜価格:15万円、ペア)も単独で購入可能だ。なお、パッシブクロスオーバーネットワークを付属する2ウェイコンポーネントシステム『スプリーモ 602』の税抜価格は80万円。おいそれと手を出せるプライスではないが、それに見合う実力が備わっていることは確かだ。これならではの豊かで艶やかなサウンドに浸れる銘品だ。
で、これに続くのが、『38 アニバーサリー リミテッド エデション』シリーズなのだが、ディストリビューターが発行した最新のリーフレットには、2ウェイコンポーネントの品番と価格の記載がなくなり、ミッドレンジとミッドウーファーのみが掲載されるにとどまっている。限定品ゆえに、そろそろ手に入りにくくなるのかもしれない。これの購入を考えているファンは、注文を急いだ方が良さそうだ。
新シリーズが登場し、人気ラインもリニューアル!
そしてそれに3rdグレードスピーカーとして、昨年に新登場したばかりの『イレイト カーボン プロ』シリーズと『イレイト カーボン』シリーズとが続く。ちなみに“モレル”は以前まで、『38 アニバーサリー リミテッド エデション』シリーズとその下の『イレイト チタニウム』シリーズとの価格差が案外大きく開いていたのだが、この新登場した2つのシリーズは、そのすき間を埋めるものとして大いに注目を集めている。価格は、『イレイト カーボン プロ 62A』(2ウェイコンポーネントシステム)が35万円(税抜)。手応えあるハイエンドスピーカーを探しているのなら、当シリーズのチェックもお忘れなきように。
で、その次に『イレイト チタニウム』シリーズが名を連ね、そのもう1グレード下に人気シリーズ、『ハイブリッド MKll』シリーズが従える。なお当シリーズは、リニューアルが成されたばかりだ。“MKll”となり、各所が刷新されている。ラインナップも整理され、3ウェイと2ウェイのコンポーネントシステムがそれぞれ1機種ずつあり、さらにツイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファー、3ウェイパッシブ、2ウェイパッシブがそれぞれ単品(ペア)展開されている。
中でもミッドレンジとツイーターは、見るからに進化している。ミッドレンジは1グレード上の『イレイト チタニウム』と、そしてツイーターはさらにもう1つ上の『イレイト カーボン』と、それぞれ同形状となっている。価格は2ウェイコンポーネントシステムの『ハイブリッド 62 MKll』で17万8000円(税抜)だ。確かなミドル-ハイグレードモデルに興味があれば、当機のチェックも欠かせない。
超薄型スピーカー『ヴィルタス ナノ カーボン』も進化して“タイプ2”に!
またその下には薄型10cm2ウェイコンポーネントと薄型10cmコアキシャルモデルとを中心とする『ハイブリッド&ハイブリッド インテグラ』シリーズがあり、さらに『ヴィルタス ナノ カーボン タイプ2』シリーズが続く。
なおこれも昨年に“タイプ2”へと進化したばかりだ。で、当シリーズは至って異色作となっている。というのも、ミッドウーファーがとてつもなく薄いのだ。取り付け奥行き寸法は、なんと17mmしかない。
ただし、当シリーズは取り付け性が高いだけのスピーカーではない。音質性能にも妥協がなく、驚異的な薄さを実現しながらも“モレル”らしいコクのある豊かなサウンドが聴けると評判だ。ラインナップは3ウェイと2ウェイのコンポーネントシステムが1つずつあり、ツイーターとコアキシャルモデルも1つずつ用意されている。価格は2ウェイの『ヴィルタス ナノ カーボン 602 タイプ2』で13万5000円となっている。
そして“モレル”は、10万円以下のモデルも計4ライン用意している。それぞれの16.5cm2ウェイコンポーネントシステムの品名と価格は以下のとおりだ。上から順番に、『テンポ ウルトラ 602 MKll』(税抜価格:8万円)、『マキシマス 602 V2』(税抜価格:5万5000円)、『マキシモ ウルトラ 602 MKll』(税抜価格:5万円)、『マキシモ 6』(税抜価格:3万9000円)、以上だ。
なおこれらはカーオーディオ・プロショップで、取り付け工賃その他とをセットにしたパッケージプランにてお薦めされていることも多い。“モレル”サウンドをリーズナブルに手にしたいと思ったら、各店のパッケージプランをくまなく探すと吉と出る。
このように、製品構成が分厚い“モレル”。聴き心地の良いスムーズな“モレル”サウンドに興味があれば、予算に合うモデルの音を、取り扱い店の店頭やデモカーでご体験のほどを。
太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。
February 15, 2021 at 09:00AM
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