鳥が住宅などの建造物に巣を作らないように、針状のトゲが並んだ鳥よけ用の「剣山」(スパイク)を設置することがある。ところが、ヨーロッパの鳥はこれが気に食わないらしく、剣山を引きちぎって巣作りの材料に使い、巣を武装化しているという。
そんな行動を研究したのは、オランダにあるナチュラリス生物多様性センターの生物学者アウケ・フロリアン・ヒームストラ氏だ。「人間が鳥よけとして使っているものを鳥たちが利用して巣を作り、子孫を増やしてしまっています」と、氏は話す。この研究の成果は、7月11日付けで、ロッテルダム自然史博物館のオンライン学術誌「Deinsea」に掲載された。
「とても賢いやり方です。人間の対策を逆手に取る鳥たちがいるなんて、頼もしいです」
鳥は都市部にも多く生息しているが、そのフンや巣の残骸に住人たちは悩まされている。この悩みが、ライトや網、剣山など様々な鳥よけグッズを製造販売する一大産業を生み出した。
ところがヒームストラ氏の研究によると、一部の鳥は、剣山の長いトゲを恐れないばかりか、設置場所から引きちぎって、ひなを育てる巣を武装化させるために使っているという。
オランダでは、ハシボソガラスが剣山を巣作りに利用していたという例がこれまでに2例報告されている。ただし剣山は、トゲが内側を向くように器用に巻かれていた。おそらくこれを巣の土台にして、小枝や枯葉などほかの材料を束ねていたのだろうという。
一方、2021~2023年の間に、オランダ、ベルギー、英スコットランドでは、それぞれドーム状の屋根の部分に鳥よけの剣山が使用されたカササギの巣が発見されている。カササギは、屋根付きの巣を作ることで知られている。
「卵やひなをカラスに盗まれることをとても恐れているので、屋根を作って卵とひなを守っているのです」と、ヒームストラ氏は言う。ここで興味深いのは、カササギは通常、サンザシやスピノサスモモ、バラの茎などトゲのある植物を使って屋根を作るという点だ。「カササギは何キロも飛んで巣の材料を探します。ところが、都市部にはあまりトゲのついた枝がありません」
つまり、カササギは剣山を単なる巣材として見ているのではなく、剣山のトゲを、トゲとして活用しているのではないかという。
もしこの仮説が正しければ、今回の研究が初めての科学的な記録ということになる。
「カササギはクレイジー」
断っておくが、鳥が人工物を巣作りに使うのは、今に始まったことではない。ヒームストラ氏は自身でも、自動車のワイパー、ヘッドフォン、ネジ、有刺鉄線、注射針、麻薬の袋、コンドームまでもが鳥の巣に再利用されているのを目撃したことがある。
「ワイルドなアムステルダムでは、鳥の巣までもワイルドです。ほとんど何でも巣の建築材料になってしまいます」と、ヒームストラ氏は言う。
氏は今回の研究にあたり、鳥が剣山のトゲを巣作りに利用したという記録を探すため、科学文献を読み漁った。最初の記録は、2009年にロッテルダムで報告されたもののようだった。最終的に、3カ国で5件の記録が見つかった。
July 20, 2023 at 03:00PM
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「トゲトゲの鳥よけ」で巣を作る賢い鳥カササギ、武装化か、研究 - ナショナル ジオグラフィック日本版
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