最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2022年10月26日にParadox InteractiveよりPC(Steam)向けに発売された『Victoria 3』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Victoria 3』とは
Paradox Interactiveの社内開発スタジオParadox Development Studioが手掛ける本作は、世界中の熱烈なファンが長年続編を待ち望んでいたグランドストラテジーゲーム『Victoria』シリーズの最新作です。舞台は19世紀から20世紀にかけての世界全体。プレイヤーは実在の国家を操作し、産業革命により急速に変化する近代社会の中で、経済的支配や軍事的覇権や理想社会の実現を目指します。
本作の舞台となるヴィクトリア朝は、まさに激動の時代でした。日本では幕末から明治、大正を経て昭和初期にあたり、世界では“列強”と呼ばれる大国が帝国主義を掲げ、互いにしのぎを削った時代です。科学技術の発達も見逃せません。ダイナマイトや電球、ラジオといった数々の発明が人類の生活を大きく変えました。本作では、こうした世界を舞台に自分だけの歴史を創る醍醐味が味わえます。
本作の核となるのは経済と政治です。経済の基本は施設を建設して生産手段を選ぶだけですが、世界中の商品が市場を通じて結びつくシステムは奥が深く、慣れるまでは国内の不景気の原因がわからないこともしばしばです。政治システムは国家の基礎となる法律を中心に、主義主張の異なる政治集団同士の利害対立を描きます。もちろん、外交や戦争といった要素も登場します。
『Victoria 3』の実内容に迫る!
それでは実際にプレイしていきましょう。
ゲームの開始時、日本はまだ江戸時代です。日本を選んでプレイすれば、明治維新を起こして国内を近代化し、列強の仲間入りを果たすこともできます。しかし、今回はちょっと変わった遊び方をしてみましょう。日本で開始したあと、北海道を独立させてプレイするのです。
北海道の独立政権といえば、幕末に榎本武揚が作った蝦夷共和国を思い浮かべる方もいるでしょう。史実より30年早い誕生ですが、天保の大飢饉の混乱に乗じて北海道の日本人が幕府から独立したことにします。
幕府から独立したばかりの蝦夷政府は共和制ではなく君主制で、独立を指導した武装勢力が権力を握っています。このままでは政府の正当性が低く、政権が不安定です。
そこで、政府改革を実行し、影響力の大きい実業家を政権に加えました。武装勢力と実業家による新政権の誕生です。
国家ができることは法律によって決まります。例えば、現在の蝦夷政府は幕府から「孤立主義」の法律を引き継いでいるため、他国と貿易ができません。これは江戸幕府の鎖国政策を表現したものです。
法律の改正は、新法案の提案から長い議論を経たのち、一定の確率で成功します。法案を支持する国民が多いほど成功率が上がり、反対派が多ければ反対運動が起こり、最悪の場合は内戦に至ります。
まずは、実業家の影響力を増やして政権を安定させるため、裕福な国民に投票権を与える「富裕者投票」の法律を制定することにしました。
この法律から利益を得る実業家は法案に賛成ですが、逆に利益を失う政治勢力は反対に回ります。地主は土地を持つ国民に投票権を与える「土地所有者投票」を主張して譲らず、辣腕政治家をリーダーに反対運動を始めました。
国家の防衛も急務です。現在の蝦夷政府には軍隊らしい軍隊がおらず、このままでは史実の蝦夷共和国のように江戸幕府に滅ぼされてしまいます。そこで、ロシアに接近してその保護下に入ることにしました。苦渋の決断です。
当時のロシアはアラスカまでも領有する北方の大国です。列強ロシアがにらみをきかせれば、幕府といえども簡単に手出しはできないでしょう。
ロシアに接近した理由はもう一つあります。経済上の問題です。日本から切り離された蝦夷の市場には商品がほとんどなく、鎖国政策で貿易ができない状況では自給自足にも限界がありました。
ロシアの保護下に入ったことでロシア市場が解放され、自由に貿易できるようになったのです。ペリーが来航するより早く、思わぬ形で開国が実現してしまいました。
そうこうするうちに、富裕者投票の法律が成立しました。地主は反対運動を続けていましたが、急速に勢力を拡大したインテリゲンチャ(知識階級)が改革を支持したのです。蝦夷政府はインテリゲンチャを政権に取り込みました。
蝦夷政権初の議会選挙では、予定通り地主が力を失いました。選挙権を富裕者に限定した結果です。
しかし、この頃、急速に財政赤字が膨らんでいました。直接の原因はロシアと貿易するために建設した港ですが、その建設費が想定を超える額になったのです。開国以来、ロシアから高額の工業製品が流入していました。もしかすると、建設に用いた資材の価格が高騰していたのかもしれません。
西洋の事情に詳しいインテリゲンチャの影響を受けた蝦夷政府は、いよいよ君主制を廃止する準備に入りました。共和制への移行です。最初の成功判定には失敗したものの、現在の国家元首が失態を犯すイベントが発生。次回の成功率が跳ね上がりました。
さらに、破産目前の蝦夷政府に嬉しいニュースが届きます。金鉱が発見されたのです。
ゴールドラッシュを前に農民はこぞって鉱山労働者に転職し、地主の反対運動もいつしか下火になりました。鉱山の建設費用で赤字は続いていましたが、金が産出するおかげで融資は継続しており、破産という最悪の事態は免れました。
そしてついに、「大統領共和制」の法律が成立。正真正銘の蝦夷共和国が誕生しました。西洋の近代思想を取り入れた共和国では農奴制の廃止、集会の自由、女性の権利など、数々の政策が議論されるようになり、近代化の第一歩を記したのです。
ここまでゲーム開始からわずか3年。日本では江戸幕府が旧態依然とした鎖国政策を続けていました。しかし、蝦夷共和国の未来も薔薇色ではありません。南下政策を進める宗主国ロシア、そして蝦夷共和国に警戒感を強める江戸幕府の動向は予断を許さないでしょう。
果たして、この世界の幕末はどのような展開を見せるのか。100年後の歴史はどのように変わってしまうのか。あなたも『Victoria 3』で自分だけの近代史を創り上げてください。
経済と政治を中心に近代史を描くグランドストラテジー作品
本作は全世界を舞台に経済と政治を中心とした近代史を描くグランドストラテジー作品です。実在の国家が当時の歴史的状況とともに再現されているので、この時代の歴史に思い入れのある方ならより楽しめるでしょう。
経済や政治のシステムはやや複雑で、最初はとっつきにくい印象があるかもしれません。自国で起きている問題の原因を探り当て、対処法を見つけるには、慣れと試行錯誤が必要です。しかし、試行錯誤の過程も本作の大きな魅力です。
グランドストラテジーが好きな方、ヴィクトリア朝時代が好きな方にお勧めの作品です。
タイトル:Victoria 3
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2022年10月26日
記事執筆時の著者プレイ時間:16時間
価格:5,390円
October 30, 2022 at 10:30AM
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試される大地―幕末の北海道に理想の共和国を作る!近代グランドストラテジー『Victoria 3』【爆レポ】 - Game*Spark
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