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「市民とともに作る」滋賀の随所に 武村正義さんへ追悼と称賛 - 毎日新聞 - 毎日新聞

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インタビューに答える武村正義さん=大津市で2013年6月10日、山田尚弘撮影 拡大
インタビューに答える武村正義さん=大津市で2013年6月10日、山田尚弘撮影

 1993年の非自民政権成立の立役者で、蔵相や官房長官を務めた元滋賀県知事の武村正義さんが9月28日、88歳で死去した。知事時代は「琵琶湖富栄養化防止条例」(琵琶湖条例)の制定や世界湖沼会議の開催、環境学習船「うみのこ」の就航など湖国の環境を守り、伝える政策に取り組んだほか、文化政策でも大きな足跡を残した。武村さんを知る人たちはその功績をたたえ、死を悼んだ。【菅健吾、飯塚りりん】

 武村さんは東京大卒業後、旧自治官僚を経て1971年に旧八日市市長となり、74年の知事選で初当選。当時としては全国最年少の40歳で知事となった。

 知事時代の77年に琵琶湖で出た赤潮をきっかけに始まった市民の「せっけん運動」を受けて79年、琵琶湖条例を成立させた。リンを含む合成洗剤の販売と使用を禁止する当時としては異例の内容で、全国的な反響を生んだ。「洗剤メーカーから裁判を起こされることも辞さず、県民が決めたことだと覚悟を持って動いていた」。せっけん運動に取り組んできた、県環境生協の元理事長の藤井絢子さん(76)は振り返る。

 藤井さんは「汗水流して現場に足を運び、よく笑う。そして私たちの話を感動しながらよく聞いていた」と懐かしむ。親交は近年まで続き、藤井さんがドイツから招いたバイオエネルギーの専門家に、せっけん運動をドイツ語で説明したという。藤井さんは「市民とともに自治を作ろうとしていた。もっと語りたいことがあったのに、無念だ」と話した。

 武村さんは知事時代、図書館の充実など文化行政にも情熱を注いだ。元びわ湖ホール館長の上原恵美さん(78)は武村県政で文化振興課長として県立図書館の新築移転に関わった。「世界中どこからでもいいから、これぞと思う人を館長に招いてほしい」。武村さんからこう言われ驚いたという。

 上原さんは、市民のための公共図書館作りの先駆者で知られる前川恒雄さん(2020年死去)に就任を依頼。前川さんを先頭に、「図書館王国」と呼ばれるまでになった。

 1978年の知事選で無投票再選した際は、県が選挙費用として予算化した約1億5000万円を県内の図書館に回したとの逸話も残る。上原さんは「部下を信頼して任せるとともに、部下に率直に意見を言い、本気になってけんかもする。上手に人を使うことができる方だった」としのんだ。

 武村さんが代表だった新党さきがけで幹事長を務めた、奥村展三・元副文科相(78)は「派閥やしばりを打破して突き進んでいこうとした政治家で日本の政治に大きな一石を投じた。表裏のない人で、政治の師匠であると同時によき兄貴で、よき相談相手だった」と振り返った。

 武村さんの死去を受け、三日月大造知事は「私が知事に就任した後も、良き先輩としてアドバイスを頂き、最近では県史編さんに助言を頂いた。多大なる業績と、県政に対するご貢献に対し、改めて深く敬意と感謝の意を表する」などとするコメントを出した。

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October 02, 2022 at 06:28PM
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