カラフルな服を身にまとい、一陽来復を願う日々
「被災地へ救援活動に行くのに派手な格好はダメなのかな?」と知り合いに尋ねられた。「そりゃステージ衣装で行くのはどうかと思うけど、お葬式に行くわけではないし、何よりも行って救援活動に参加することが大事なのだから普段着で行けばいいんじゃない?」。そう答えながら、僕は倒れて入院していた父のことを思い出した。 もう20年以上も前のことだが、癌で闘病生活を続けていた父が脳梗塞で倒れ、兄から「すぐに京都へ戻ってこい」と連絡がきた。僕は取りかかっていた仕事を切り上げて、東京駅から新幹線で京都へ向かった。が、病院に着いてエレベーターに乗った時、鏡に映った自分の姿に驚いた。そのときの僕は、金髪に銀色のパンツ。そして黄色いポロシャツに自分で銀色にペイントしたコンバースオールスターのプラットフォームシューズ。生死をさまよっている父親を見舞う姿ではない。が、今さらどうにもならないので諦めて病室へ向かった。父が寝ているベッドの横には、母親が泣きながら座っていた。えらく小さく見えた。夕暮時の薄明るい光が差し込む部屋は、音もなく空気が重い。そこに入ってきたのが金髪&銀パン野郎である……。そうこうしていると、僕が来たのを知って、主治医が病室まで来てくれた。廊下へ出て、医師から父の容態説明を聞く間、僕は自分の格好のことは忘れていた。まったくもって状況にふさわしくなかったが、とりあえず無事父の元に駆けつけられたという事実に僕は満足していた。知人の相談に答えながら、僕はその光景を思い出していたのである。 コロナ禍が続く限り、決して以前のように前向きにはなれない。でも、せめて、そんな状況だからこそ、明るい色の服を着て気分を上げたいと思う。単純な発想だが、人間は視覚によって救われることもあると思うのだ。黄、緑、桃、赤……。無邪気にカラフルな服を愉しんでみよう。明るい色のアイテムは、空気を変える。暗くて重たい空気と一体化している場合ではないのだ。明るい色で浮いてしまおうではないか。ここぞとばかりにやってしまおう! 今季、ボッテガ・ヴェネタが出している“グリーン“に注目している。下の写真では、ガンビーのごとく全身“グリーン“だ。バッグも含めてオールグリーン。ほかには、セリーヌの黄色、そしてマルニのイエロー&ピーチ。どれも情緒あふれるカラーに心が躍る。 ■ハイアット セントリック 銀座 東京 2018年にオープンした「ハイアット セントリック 銀座 東京」。銀座のメインストリートである並木通りに位置し、かつて新聞社創業野地であったことから、印刷機などをモチーフにしたアートワークも魅力。客室は3階~12階で全164室。スタンダード、デラックス、スイートを含む全5種類のタイプ。個性と遊び心に溢れたホテルにぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。 東京都中央区銀座6丁目6-7 TEL.03-6837-1234 Words & Styling 祐真朋樹 Tomoki Sukezane / Photos 秦 淳司 Junji Hata@Cyaan Hair JUN GOTO@ota office / Title Illustration Ged Palmer / Portrait Illustration Stephane Manel Editor 橋田光靖 Mitsuyasu Hashida / Cooperation HYATT CENTRIC GINZA TOKYO
May 09, 2021 at 06:10PM
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