1型センサーの本家本元がいきなりきたー! って感じの「Xperia PRO-I」。つい「プロワン」と読みそうになるけど「1」じゃなくて「I」。プロアイ。「I」は「Imaging」の「I」だそうで、新製品のプレゼンを見ていたらいきなり「The Camera」と来たのである。
何しろ、ソニーは1型センサー搭載コンパクトデジカメの大ヒットモデル「RX100」シリーズを持っているメーカー。ソニーがやらねばどこがやる、ってなもんだ。
その1型センサー、Xperia PRO-Iも「RX100 VII」のセンサーをモバイル向けに最適化したものを採用……って、あれ、RX100 VIIのイメージセンサーって約2100万画素だよな。でもPRO-Iは1220万画素。約800万画素はどこいった? とカメラ好きはそこに目が行ったわけだが、それはそれとしてチェックしつつ、ソニーはどこを目指そうとしているのかもPRO-Iから探ってみたい。
1型センサーが1210万画素のわけ
何はともあれ、PRO-Iを語るとしたら「1型センサー」だろう。Xperia PRO-Iはトリプルカメラ仕様のフラグシップスマホ。「Xperia 1 III」では3つのカメラが同じ顔をして並んでいたが、Xperia PRO-Iは真ん中のカメラだけデカい。
それが1型センサー搭載のカメラだ。24mm相当の広角カメラに、以前よりずっと大きな同社のハイエンドコンパクトの最新モデル「RX100 VII」が搭載する1型のイメージセンサーを最適化して搭載したのだ。従来モデルの4倍のサイズといっている。
ただ、このセンサーは総画素数約2100万画素。RX100 VIIの場合、有効画素数約2100万画素でアスペクト比は3:2だ。対してXperia PRO-Iは有効画素数1220万画素で、アスペクト比は従来のXperiaと同じ4:3だ。
何が起きているかというと、2100万画素のうち、中央部の4:3で1220万画素分だけを使っているのである。
そうすることで、レンズを小さく薄くできるわけで、実は同じセンサーを使っている「RX0」は有効画素数約1530万画素だし、普及型コンパクトでも高倍率ズームを小さなボディーに収めるためにセンサー全体を使っていないモデルはある。
たぶん、従来のXperiaが1220万画素で統一していたのでそろえたかったことと、スマートフォンの薄型ボディーに収めつつレンズのクオリティーを保つことを考えると、中央部の1220万画素分を使うのが現実的な解だったのかなと思う。新たなセンサーを開発するより、RX100 VIIのセンサーを改良する方がコストもかからなくてよかったのだろう。
それでも画素ピッチは2.4μm。これが大きい方が1画素あたりの面積がでかい=より多くの光を捉えられるので画質的に有利なのだけど、先日出たばかりのiPhone 13 Proが1.9μmなのでそれよりもまだ大きい。
で、中央部1220万画素分しか使ってないというのは静止画のときの話。センサーサイズ的には余裕があるので、動画は静止画よりちょっと横方向に広く撮れるし、手ブレ補正をオンにすると画角は少し狭くなるが、センサーサイズが大きい分、以前よりはそれが抑えられているそうだ。
レンズのF値が2段階の可変式に
そして、このメインカメラにはもう1つ特徴がある。それはレンズ。スマホカメラのレンズは往々にしてF値固定であるが、Xperia PRO-IはF2.0と4.0の2段階になった。一時期、Samsungが「デュアルアパーチャー」という名で絞りに2段階切換式を採用したことがあるけれども、それ以来だ。
F2.0と4.0では1段分しか変わらないので大きな変化はないけれども、遠景をくっきり撮りたいときはF4.0にした方がほんのちょっとディテールがしゃきっとする。また料理などを近距離で撮るときは、F2.0では背景がボケすぎることがあるし背景も前景もどっちもピントを合わせたいときもある。そんなときF4.0にするといい。F2.0と4.0の切り替えは「Photography Pro」の「BASIC」モード時も含めて完全に手動だ。
カメラアプリはXperia 1 IIIと同じく「Photography Pro」を使う。これのBASICモードではスマホらしくアプリ任せで撮れるし、背景ぼかしも動画も使える。それ以外のモードではシャッターはボディーのシャッターボタンのみになり、カメラらしいUI(ユーザーインタフェース)になる。今までのPhotography Proとの違いは絞りの切り替えがついたことくらいだろう。
さらに素晴らしいのがAF。たぶんスマホカメラのAFに関してはトップと言っていい。人間でも動物でもリアルタイム瞳認識が発動して目を追い続けてくれるし、それ以外の被写体でも撮りたいものをタップすれば「リアルタイムトラッキングAF」が働いてきっちりと被写体を正確に追いかけてくれる。
広角カメラの他は16mm相当の超広角カメラと50mm相当の望遠カメラだ。
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本命はビデオグラファー? 動画の撮影機能も充実
1型イメージセンサー採用による高画質に注目が集まりがちだが、Xperia PRO-Iのポイントは写真用のPhotography Pro、デジタルシネマ用の「Cinematography Pro」に加えて新たに「Videography Pro」を用意したことにあると思う。
Cinematographyは業務用のシネマカメラがベースなんだけど、映画を撮りたいんじゃないよって人にはアプリの使いこなしも撮影の編集も含めてちょっとハードルが高かった。そこで、シネマカメラではなく業務用ビデオカメラをベースにしたVideography Proというビデオアプリを新たに搭載したのだ。
シネマカメラほど専門的な知識がなくても使え、でもカメラアプリについてくるほぼアプリおまかせのビデオ機能よりもずっと細かいコントロールができてイメージ通りの映像を撮れる――そんなアプリなのである。しかもオプションで自撮り用「Vlog Monitor」も用意。
よりクオリティーが高い1型センサーカメラで自撮りするための小型モニターだ。アダプターと一体化して背面に貼り付けて使う。さらに「α」シリーズやVLOG CAM用のシューティンググリップと組み合わせれば、グリップを持って撮影して回ったり自撮りをしたり、テーブル三脚代わりに使ったりと、Xperia PRO-IをVLOG用のビデオカメラとして使えるのだ。
実際に体験会で使ってみたが、一番クオリティーが高いカメラで自撮りできる上に背景もいい感じにボケてくれるし、もちろん正面も撮れるし、カメラアプリも本格的なビデオカメラ的に扱えるわけで、実は本命とするターゲットはフォトグラファーよりビデオグラファーなんじゃないかと思うくらい。
考えてみたら、最近のソニーのデジカメは「VLOGCAM ZV-1」(これはXperia PRO-Iと同等の1型センサー機だ)、「VLOGCAM ZV-E10」(これはレンズ交換式のVLOGCAM)とVLOGに力を入れた機種を立て続けに投入して、カメラの世界でも「動画も撮れるスチルカメラ」から「静止画も動画も等価に扱うデジタルカメラ」へシフトしつつあるわけで、Xperiaのフラグシップモデルにそのテイストが入っていても不思議はないのだ。
前モデルの「Xperia PRO」が単体で使うよりはαシリーズと組み合わせて最高の力を発揮するプロ機だったとすれば、Xperia PRO-Iはそれにプラスして単体でもイケるスマホ、というか通信機能内蔵の映像機器としてクリエイターをサポートするデバイスになろうとしているんじゃなかろうか。1台で静止画+動画+配信をこなせちゃうのである。
てなわけで、次回は実機を使ってあれこれ試してみたい。
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November 03, 2021 at 04:00AM
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「1型センサーの本家」が作るスマホ「Xperia PRO-I」の真価はどこにある?(1/2 ページ) - - ITmedia
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