放牧牛の生乳を原料としたバターオイル「ギー」。国産は希少な存在だ。岡山県真庭市で酪農を営む法人「醍醐桜」は、東京のベンチャー企業nD(エヌディー・東京都千代田区)と協力してギーを製造・販売する。ギーの原料から商品化まで国産で実現させたのはおそらく初めて。少しずつ出荷量を伸ばし、酪農が盛んな地域の振興と新たな特産を目指す。(鈴木健太郎)
「乳価に左右されない特産に」
「満足できる国産のギーがなかったから作ろうと考えた」と振り返るのは、企画・販売を担うnD代表の中原寛法さん(43)。妻が妊娠、出産で体力が落ちた時、栄養価が高く口にしやすいギーを食べていた。しかし輸入品は風味が物足らず、バターから自作するのは手間がかかった。
理想のギーを作るため、牛は放牧飼育にこだわった。協力してくれる酪農家を探して醍醐桜の山本英伸さん(38)と出会い、商品化が実現した。
2019年、nDは商品名「満月のGHEE(ギー)」で発売。主に電子商取引(EC)サイトで販売する。価格は100グラム4320円と輸入品の約3倍だが、発売2年で売り上げを2割増やした。顧客の3割がリピーターという。
中原さんは「健康に関心のある人は、安全・安心な国産を選ぶ人が多い。需要は確実に増えている」と手応えを語る。
◇ ギーの原料となる生乳生産を手掛ける醍醐桜は現在、ジャージー牛の経産牛34頭、育成牛10頭を飼育する。自家製ジェラートの製造・販売も手掛ける。ギーの原料となる生乳は放牧するジャージー牛2頭から搾る。牛は専用の放牧地50アールで年間通じて草だけを食べさせて飼育する。
放牧牛の1頭1日当たりの乳量は、約6キロと通常の乳牛の約3分の1。ギーの売り上げはまだ、醍醐桜全体の1%未満だが、山本さんは「付加価値を高めて直接販売する。生乳価格に左右されない点が魅力だ」と話す。生乳の需給緩和で乳価が下落する中、経営の柱の一つとなることに期待する。
新たな特産として地域振興も狙う。インターネット交流サイト(SNS)を通じて顧客を招待。地域の有志と協力して牧場や寺院など観光スポットを案内する。これまでに5人が来訪した。山本さんは「新型コロナウイルス禍が収まったら、また増やしていきたい」と意気込む。
<ことば> ギー
インドを中心に作られるバターオイルの一種。生乳を発酵させた無塩バターを加熱、ろ過し精製する。インドでは調理に加え伝統医療にも用いる。必須脂肪酸やビタミン類が豊富。健康に関心の高い人や高齢者の介護食などで注目される。農水省によるとギーを含むバターオイルの輸入量は、2020年度に約300トン。国家貿易輸入枠数量が150トンで、残りは主にインドとウガンダ産。
January 13, 2022 at 03:03AM
https://ift.tt/3flcKyc
放牧牛で作るバターオイル 国産「ギー」市場開拓 岡山の酪農家がベンチャーと協業 - 日本農業新聞
https://ift.tt/35vzQLu
Mesir News Info
Israel News info
Taiwan News Info
Vietnam News and Info
Japan News and Info Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "放牧牛で作るバターオイル 国産「ギー」市場開拓 岡山の酪農家がベンチャーと協業 - 日本農業新聞"
Post a Comment