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<16>音を作る楽しさ広まれ - 読売新聞

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 神社仏閣や結婚式場で流れる荘重な調べ、雅楽。中国や朝鮮半島から伝わった音楽や舞が、日本古来のものと融合した独自の芸術だ。奈良時代に始まったとされ、平安時代に盛んになり、千数百年の時を超え、現代へと続く。

 天理市二階堂上ノ庄町の「工房  ひびき 」代表、 ひがし 康弘さん(68)は、雅楽器の製造や修理をなりわいとしている。雅楽の主要な楽器、 しょう 、縦笛の 篳篥ひちりき 、横笛の 龍笛りゅうてき の3種類を作る。

 オルガンのような音で和音を奏でる笙は、ハーモニカと同じ原理で音を出す。直径約1センチ、長さ10~50センチの17本の竹管のうち、15本に、銅と すず の合金製のリードが付いており、竹管の指穴を押さえて息を吹き込んだり吸ったりすることで、リードが振動して音が鳴る。

 東さんは大阪府東大阪市の出身。両親が天理教の布教師で、子どもの頃から雅楽が身近だったという。高校卒業後、「雅楽でなくてもよかったが、東京に行きたくて」、東京都内で宮内庁楽部の元楽師の内弟子となり、住み込みで笙の演奏や調律を学んだ。

 「雅楽は、最初に歌を覚えて、その歌を楽器で表していくんですね。クラリネットなどの洋楽器のように、押さえたら音が出るというようなものではなく、笙や篳篥、龍笛は自分で音を作らなければならない。単純な楽器だけれど、音を作る難しさと楽しさがある」と雅楽の魅力を語る。

 30歳を過ぎて天理市に住み、調律や修理を引き受けるうち、「笙がほしい」という人が出てきたという。店で探したが、手頃な笙がなく、「それならば」と独学で笙を作りだした。

 堅い竹を選び、熱を加えて真っすぐにする。竹を組んだ後、下部に漆を塗って、息が漏れないようにし、銀製の金具を取り付ける。リードは専用の刃物で幅5ミリ、長さ12~21ミリ、厚さ0・3ミリの薄片に削る。

 「一番肝心な部分なので」、リード作りには細心の注意を払う。リードが長いと低い音、短いと高い音が出る。少しずつ削り方を調整。最後に、 蜜蝋みつろう と松ヤニ、鉛を混ぜた極小の「おもり」を上に載せ、微妙な音階の調整をする。

 「そもそも竹の種類によって音の出方が全然違う。堅い竹だと、しっかりした笙らしい音が出る。リード作りだけではなく、いろいろな工程があり、それぞれ難しさがある」と説明する。

 雅楽教室も週1回開き、約10人が通う。「続けるうちに、だんだん興味を持ってくれるようです」と目を細める。雅楽の魅力が少しでも広まればいいと願っている。(関口和哉)

  〈メモ〉  「工房 響」では、雅楽器を販売している。笙は40万円から。受注生産なので、注文から約1か月かかる。調律、修理も受け付けている。ほかに篳篥は15万円から、龍笛は20万円から。いずれも価格は税込み。問い合わせは「工房 響」(0743・64・5458)。

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January 24, 2022 at 03:00AM
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