北極圏から地中海まで、太平洋や南米にも加盟国の海外領土が広がる欧州連合(EU)は気候危機に敏感だ。人の命にかかわる安全保障の問題だととらえて、「脱炭素」を先導してきた。そして、他国も同じ努力をせざるを得なくなるルールづくりに乗り出している。(青田秀樹)
バイデン政権が誕生した翌朝、米東海岸の1月21日午前10時。欧州委員会のフランス・ティマーマンス副委員長は、米大統領のジョン・ケリー気候変動担当特使と電話会談した。2人は、オランダの元外相と米国の元国務長官として旧知の間柄だ。 米国の政権交代を機にEUの動きが加速した。大きな狙いのひとつが、「ひな型をつくる好機だ」という「国境調整措置」での連携だ。温室効果ガス削減が不十分な国からの輸入品に対して、課金する政策である。 EUは2050年の「温室ガス排出、実質ゼロ」宣言で先陣を切り、30年に90年比55%減を掲げる。ただし、規制強化は域内企業の競争力をそぎかねない。規制が緩い海外へと生産拠点が移れば、そこで温室ガスが出る「カーボン・リーケージ」を招く。EU内の雇用にも響く。ならば輸入品への課金で域内の企業を守り、4.5億人のEU市場をテコに他国にも脱炭素を迫る――。そんなしたたかな戦略を描く。 中国もインドも、もちろん日本も無縁ではいられない。世界経済への影響は大きく、保護主義だとの批判を浴びかねない。だからこそEUは、米国との連携を探る。 ティマーマンス副委員長とケリー特使が電話会談した翌日、今度は、2009年の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)の議長国だったデンマークが、両氏やEU各国の外相らをオンライン会議に招いた。ホスト役を務めたイェッペ・コフォズ外相は「米国抜きでは温暖化対策の目標に到達できない」と指摘する。 大西洋をはさんだやりとりを重ねたケリー特使は3月、欧州を歴訪してブリュッセルに足を運んだ。欧州委はケリー特使を「閣議」に招き、ワーキングディナーまで組み込んで、たっぷりと温暖化対策の議論を続けた。ティマーマンス副委員長は「力をあわせて山を動かす」と語り、ケリー特使は「欧州以上のパートナーはいない。足並みをそろえ、あらゆる国を巻き込んでいく」と応じた。
April 15, 2021 at 09:51AM
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「ルールは我々が作る」 知っておかないと不利になる、ヨーロッパのしたたかな脱炭素戦略(GLOBE+) - Yahoo!ニュース
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