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脳の一部を実験室で作る「神経オルガノイド」 病気再現、治療法探る:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 胎児の脳ができる過程をお手本にして、その一部を実験室で再現して組織を作る。「脳の特定の領域になれ」と教えるように培養するのがコツ――。

 12月、神戸市で開かれた日本分子生物学会で、名古屋大の須賀英隆准教授がこんな発表をした。体のさまざまなホルモンの分泌を制御する脳の器官が働かないと、脱水や血圧低下など命にかかわる。この機能を代替する新治療法の開発をめざし、「神経オルガノイド」作りに取り組んでいるという。

 オルガノイドは「オルガン(臓器)」と「オイド(似たもの)」をあわせた言葉で、臓器に似せた立体組織をさす。

 この分野のパイオニア理化学研究所の永楽元次(現京都大教授)さんや笹井芳樹さん(故人)らのグループだ。2008年、受精卵から作ったヒトの胚(はい)性幹(ES)細胞を培養し、神経細胞が整然と4層をなす立体組織を作った。胎児の脳の外側の層「大脳皮質」にそっくりな構造が自然にできた。

 発生学の知識を生かし、臓器が自発的にできる過程を模倣する培養法で、思考や運動、感覚など高次機能を担う大脳皮質の一部を作った。

 グループは続いて、目のもと、運動をつかさどる小脳など脳のさまざまな領域の組織を作製、笹井さんは「ブレーンメーカー」と呼ばれた。

 当時、病気の組織と入れ替える再生医療をめざし、ES細胞やiPS細胞を、さまざまな組織の細胞に分化させて移植する研究が注目を集めていた。

 分化させた細胞は再生医療だけでなく、病気の仕組みや治療法を探る研究の道具にもなる。皮膚や血液の細胞から、普通は採れないヒトの神経組織を大量に作りだすことができる。神経細胞はつながり、ネットワークとして働くため、ばらばらの細胞ではできない研究が可能になるとされた。

 ヒトの脳の働きは動物ではわからないことがある。わずか数ミリであっても、ヒトの組織を作り、病気の状態を再現する研究に道が開かれた。

 記憶をつかさどる海馬のオルガノイドなどを作製した理研の坂口秀哉研究リーダーによれば、有用性が広く認識されたのは、15年のジカウイルス感染症の流行後だという。

 妊婦が感染すると、頭が極端に小さい「小頭症」の子が生まれることがある。オルガノイドの実験で、感染が細胞死を起こすことがわかり、感染との因果関係が示された。

 それから、てんかん、自閉症…

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December 23, 2023 at 07:30AM
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