「自分のキャッチコピー」を作るワーク
芳村瑞恵氏(以下、芳村):じゃあ、ここからワークに入っていきたいと思います。第二部に進んでいきましょう。今回ご用意したものが「自分のキャッチコピーを作ってみよう」です。
勝浦先生にキャッチコピーの作り方のコツを教えていただいて、その上でみなさんにシンキングタイムをお渡しして、実際に作ってみましょう。3人1グループを作って発表しあってみたいと思います。では、コツを教えてください。
勝浦雅彦氏(以下、勝浦):著書(『つながるための言葉 「伝わらない」は当たり前』)の中にも書いているんですが、「ジブンキャッチを作ろう」というコーナーです。わりと簡潔にまとめてしまったので、この(スライド)1枚を見ていただければわかると思います。これをやる時、いろんな講座でわりと時間を取るんですが、今日はそんなに時間が取れないだろうなと。
芳村:そうですね。シンキングタイム、2分しか取ってないですが大丈夫ですかね。
勝浦:なので、なるべく簡潔にやり方をまとめさせていただきました。自分に関係する単語・フレーズをたくさん書き出すということです。関係する単語・フレーズというのは、基本的には自分が好きで、人に伝えたいと思うようなこと。あるいは、自分を構成する大事な言葉やフレーズを書き出す。
例えば、仕事、趣味、ずっとやってきていること。とにかく、何をもって自分を覚えられたいか・アピールしたいかを考えながら、自分に関係する単語を書き出してみましょう。
芳村:なるほど。今回、事前に芳村もこんなキャッチコピーを作りました。9つ上げているんですが、①コミュトレインストラクター、②プレゼンの先生、③ノンバーバルモンスター、④俳句を趣味でやっていて、1日1句を続けています。
⑤山登り、目指せ百名山。最近、山にめっきりはまっています。「南アルプス・北アルプスに抱かれたい」というのが私のフレーズです。あとはコミュトレに丸20年勤めていて、20年のお局さまです。
私のモットーは「笑顔で生きていく」。そして「おもしろいほう」を選択すること。自分に関連するフレーズをこんなふうに出してみました。先生、いかがですか?
「ジブンキャッチ」は、相手との会話の種になることが大事
勝浦:そうですね。先ほど芳村さんに話したように、「コミュトレインストラクター」「プレゼンの先生」というのは大事な言葉なので入れようと思いつつ。ただ、人が興味を持つかというと、あんまりそこをたくさんつなげても興味を持たれにくい。
ジブンキャッチは、芳村さんというキャラクターが伝わることで、人との話の端緒になることが大事です。なのでこの中のおすすめは、コミュトレを20年やってらっしゃるという、この「20年」という数字はとてもいいと思います。数字は説得力があるので。
ぱっと見、芳村さんはかれんで華奢な感じなんですが、「山登りが好き」「俳句をやってる」というのもすごくおもしろいので。
芳村:今日はきれいな服を着てますが(笑)。
勝浦:「山登りが趣味の俳句好きな」……なんて言いましたっけ?
芳村:「山登りが趣味の俳句好きなコミュニケーションモンスター」(笑)。
勝浦:例えば、今言ったように「山登りが趣味の俳句好きコミュニケーションモンスター」とか「俳句女子」って書いてもいいです。
芳村:そうですね。
勝浦:コミュトレ、山登り好きから発展させて、「コミュニケーションの山を20年登山した俳句好きトレーナー」「俳句好きインストラクター」みたいな感じで。
芳村:「コミュニケーションの山を20年登り続けた」っていいですね。おもしろい。
勝浦:「なんで山なんですか?」という話があると、「登山が好き」となるし、インストラクター、俳句女子という言葉が入ってくると、「俳句がお好きなんですか?」とか、人が突っ込みたくなるんですね。芳村さんやっていただいたように、まずは①(自分に関係する単語、フレーズをたくさん書き出す)をやっていただいて。
芳村:みなさん、まず①を出してみてください。
「ジブンキャッチ」を作る時のポイント
勝浦:書いてみて、他人が突っ込みをいれたくなるような意外な組み合わせを探す。数字を入れたり、抽象を具象にする。
芳村:「コミュトレ20年」「百名山」「1日1句」とか、数字が入るのが1つポイントです。とはいえ、それが自分が表現できているかをチェックしていただく。あんまり奇をてらって無茶なものを作っても、はっきり言ってバレるということですね。
勝浦:ぱっとやるのはなかなか難しいかもしれないんですが、自分がどういう言葉で、どういう属性で、どういうカテゴリーやフレーズで人に覚えられたいか、見られたいか。
当然、仲良くなっていったらそんな呼ばれ方はしなくなると思うんですが、ある程度の期間までは「登山が趣味の俳句女子の方ですよね」「インストラクターをやってらっしゃるんですよね」と、覚えてくれる。そういった端緒になるような言葉を作ってみようというのが、このワークです。
芳村:私も今回、2分ぐらいで9つのフレーズを出しました。これを出してから組み合わせをして、ワンセンテンスにまとめる作業をしていきましょう。みなさんもよく考えてみてください。仕事面、自分の趣味、あとは得意なこととか。
勝浦:人にぱっと伝えたいことって、社会人になってからはだいたい仕事のことや、あとは自分の趣味。あんまり政治的なことや宗教的なことはやめたほうがいいと言われていますが、それも試行錯誤ではあるので。
芳村:信念的なものかもしれませんね。例えば私の「笑顔で生きていく」は、よく受講生のみなさんにも言っているんですよね。芳村のモットーはalways smileなんで。
勝浦:気持ちの部分でね。「笑顔」とか「誠実」って、基本的にはありふれた言葉だと思うんですが、笑顔だけに留まらず、「こういうことを大事にしている笑顔で、あなたと会いたい私です」「笑顔が得意な○○です」と言うことで、ちゃんと人に伝わる。
芳村:確かに。「笑顔」だけだと変にベタな感じになっちゃいますもんね。
勝浦:平凡な、営業のロールプレイングビデオみたいになっちゃう。
芳村:(笑)。
キャッチに「数字」を入れることで、より具体性が生まれる
芳村:では、自分が出したものから組み合わせを作ってみましょう。今回は少し長くなってしまってもいいということだったので、1つのワンセンテンスにまとめて発表し合いましょう。完璧なものを求めなくて大丈夫です。今、できている範囲でやっていきましょう。じゃあ、お願いします。
(グループワークが終了)
みなさん、おつかれさまでした。どうでしたか? 実は勝浦さんと一緒に、ちょこちょこいろんなグループの実践を見させていただいたんですが、どこも楽しそうにお話ししてくださっていてうれしいなぁと思いました。
勝浦さんが見てくださるので、すべてを拾うことはできないんですが、今回作った自信作をみなさんもどんどん書き込んでください。
勝浦:みなさんが書いたものを、「こういうふうに書いてる人がいるんだ」「おもしろいな」と、相互で見るのがすごく大事なので。
「中年学生」と書いてくれました。おもしろいですね。中年だけど学生? というところで、聞きたくなりますよね。すばらしい。こういうことです。
芳村:ギャップっていいですね。やっぱり、ユーモアはギャップから生まれますもんね。
勝浦:「何なんでしょう?」って聞きたくなります。みなさん、さすがですね。
芳村:うまい。
勝浦:「千本ノックと青い鳥」……。すばらしいですね。
芳村:ちゃんと数字も入ってる! いいですね。なかなか自分のキャッチコピーを作ることはなくて、私も今回初めてやってみたんですが、これからコミュトレのワークでも入れようかな。すごく盛り上がりそう。今までうちでも「初対面必勝法」とかはやってたりするんですけれども。
勝浦:「バイク女子」。○○女子って、やっぱりキャッチーでいいですね。意外なバイクとかアクセサリーとかね。
芳村:男性ものと組み合わせるっていうね。
勝浦:「スイーツ女子」だと普通だけど、「登山女子」「俳句女子」とか。
芳村:俳句女子ね。俳句はおばあさんだろ、っていう。みなさん、この短期間の勉強でなかなかやりますね。すばらしい。
「ジブンキャッチ」を磨けば、初対面の自己紹介でも使える
勝浦:人の作ったコピーを見るだけでも相当おもしろいですよ。実はこのワークを短期間でやったのは初めてで、こんなに作れると思ってなかったです。学生さんとかでやっても、けっこう時間をかけないとなかなか作れないんですよ。
芳村:今回、2分のシンキングタイムですよ。
勝浦:社会人をやってらっしゃるみなさんは、いろいろ考えてらっしゃるということなのか。“頭の中の筋肉”というか、思考の筋肉量が違うんだなという感じがしましたね。
芳村:すばらしい。今は短い時間で作っていただきましたが、これをきっかけにブラッシュアップしていけば、自己紹介の時にキャッチコピーとしてもすごく使える。だって、いきなり自分のキャッチコピーを言う人はいなくないですか? めちゃめちゃおもしろいですね。でも結局、これがコピーライティングということなんですね。
勝浦:本当にそうですね、コピーは定型があるものではないので。僕がしている「コピー」の定義は、ある目的を持って、人に最短距離で届く、人を動かす言葉だと言ってるんですね。
そういった意味では、自分のキャッチフレーズは最短距離で人の心を動かして、自分に興味を持ってもらう、好きになってもらう、話のきっかけになる。みなさん、それができてると思います。
芳村:というか、作っておくべきですね。私みたいな仕事だったらもちろんですが、自分を売り込むことって、本当は日常茶飯でやっていくことであって。
みなさんも、職場で「初めまして」で一緒にプロジェクトをやる方には、自分を表現する、自分に興味を持ってもらう、自分のことを好きになってもらうためのフレーズを持っているのは、ものすごくいいと思います。
勝浦:(参加者の作ったキャッチコピーで)「40ヶ国と25年」。こういうのも聞きたくなりますね。「世界40ヶ国、どこが一番楽しかった?」「習字歴25年でどんな字を書いたんですか?」「一番でっかい字はどんな字を書いたんですか?」とか、聞きたいことがすごくあるじゃないですか。年末の仏事とかで、でっかい字をぶわーって書いたり。
芳村:「今年の一字」みたいなのありますよね。
勝浦:「あれ、書いたことあるんですか?」とか聞きたくなりますよね。
芳村:「ジブンキャッチ」については勝浦さんの本に詳しいところが載ってます。
全国で著書のトークライブツアーも開催予定
芳村:ということで、ご著書の話にも入っていきたいなと思うんですが、後半戦ですね。今回の本のサブタイトルには『つながるための言葉 「伝わらない」は当たり前』というのが入ってますが、このタイトルに込めた思いはどういったものですか?
勝浦:光文社さんから『つながるための言葉』という本を出しました。スライドの写真は、紀伊国屋書店さんの大手町ビル店で週間ランキング1位になったので、記念写真を撮りに行って、そもそもSNSで顔バレしてるのに、なぜかMAN WITH A MISSIONみたいな感じで顔を隠してみました。
芳村:かわいいですね。狼を被る、みたいな。
勝浦:8、9月には京都・兵庫・熊本・湘南・名古屋で、この著書のトークライブツアーをやりますので、ぜひお近くの方は遊びに来ていただけると嬉しいです。
芳村:トークライブツアー? すごいです、そんなのもやるんですか。
勝浦:各地域にあるイベント設備をもった書店さんに行って、今日みたいな感じでお話をして、読者さんと直接交流をするということをやっていますおそらく、人数的には数十名だと思うんですが。インディーズバンドのドサまわりみたいなもんですね。夜汽車に揺られて街から街へ移動したいです。実際は、飛行機でしょうけど。
芳村:そうですか。このツアーは何を見れば情報が載っていますか?
勝浦:私のTwitterで発表します。やることはもう確定してるんですが、今、時間とかの詰めを行っていて。
芳村:OKです。勝浦さんのTwitterを見ればわかるということなので、開催会場のお近くの方はチェックしてくださいね。
オリジナルTシャツの絵が「魚」と「女の子」な理由
勝浦:ところでまたクイズです。僕のことをそもそも知ってらっしゃる方は「しーっ」というか、お口をミッフィーにしてもらいたいんですが、私が着ている『つながるための言葉』オリジナルTシャツはなぜこの図柄なのか、わかる方はいらっしゃいますでしょうか? 僕のことをまったく知らずに聞いてる参加者の方で、ピンときたらチャットに書いてみてください。
芳村:黄色のTシャツにイラストが書いてありますね。なぜこの絵なのか。魚に女の子が乗ってる。この本と絡んでるわけですね。
勝浦:絡んでます。
芳村:みなさん、いかがでしょうか。
勝浦:チャットに来てないですね。
芳村:(笑)。これ、ちょっと難しいかもしれませんね。
勝浦:最近、一発で答える人がだんだん出てきて。(コメントで)「奥さんが魚が好きだから」、違います。……「ツナガール」。はい、正解です!
芳村:(笑)。よくわかりますね。ツナかぁ~。
勝浦:さすがですね。
芳村:難しい。マグロがツナっていうところがね。
勝浦:これを最初に一発で当てたのが、個人的に交流のあるスピードワゴンの井戸田(潤)さんでした。収録現場にこの本を献本しに行って、ついでにこのTシャツを着てクイズを出したら、「あぁ、ツナガールですか」ってすぐ答えられて。
やっぱりお笑い芸人さんは大喜利とかをやってるから、瞬発力がすごいんだなと思って。ちなみに、その場によゐこの濱口(優)さんもいたんですが一発で当てました。
芳村:大喜利力、すごいですね。
勝浦:お笑い芸人さんの発想力ってすごいなと。先ほど当てた方も、頭の柔らかさはお笑い芸人さん並みです。すばらしい。
芳村:おめでとうございます。
<続きは近日公開>
Occurred on , Published at
July 21, 2022 at 07:00PM
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“自分のキャッチコピー”を作ると、初対面の会話でも役に立つ 電通コピーライターが説く、最短距離で届ける「コピー」のコツ - ログミー
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