新型コロナウイルスで自宅療養や自宅待機となる感染者や濃厚接触者に対し、大阪府寝屋川市は昨年5月から、他の自治体に先駆けて配食サービスを提供している。事業者と協力して毎日3食が「非接触」「利用者負担なし」で宅配され、自宅待機者らは外出することなく生活でき、感染リスクも軽減できる。市は住民目線のコロナ対策を「寝屋川モデル」としており、その代表施策として注目されている。
玄関のドアノブにかけて「感染に気を付けて本日もよろしくお願いします」
4月下旬の午後、同市内の配食サービス会社では約20人が短い打ち合わせを終え、配達スタッフができたての弁当の入ったバッグを抱えてバイクで次々と飛び出していった。
軽症の感染者やその家族、または感染者の濃厚接触者として自宅待機を要請されている人たちが待つ配達先では「今、玄関のドアノブにかけました」とインターホンや電話で声をかける。利用者と顔を合わせることはない。
経営者の杉原充さん(55)は「調理スタッフは朝5時から作業しています。ぎりぎりの状態ですが、地域に役立っているという誇りを持って頑張ってくれています」と話す。
同市では昨年5月から、自宅療養者や家族らに対する配食サービスを開始した。現在は市内の3事業者が市の委託を受けている。午前中に昼食の弁当、午後に夕食の弁当と翌朝のパンなどのセットが届く。
委託料は3食で1500円(5月から2千円)。国が昨年5月に決めた交付金が充てられる。国の補助対象は感染者だけのため、家族分などの一部は市がまかなうが、利用者負担はない。
希望者400人台に市によると、昨年度は約2860人が延べ約1万8千食を利用。市民約23万人の約1・2%の計算だ。今年度はこの数字をかなりの規模で上回るとみられる。
同市では今年4月中旬や5月上旬に新規感染者が30人台となる日が相次いだ。自宅療養者や濃厚接触者も増え、配食サービスの希望者は市全体で1日400人台に及んだという。
杉原さんの店は1日最高で約280人を担当。4月は延べ約5千人に3食を届けた。メニューは和食を中心に、自宅待機者には若い人も多く、ボリュームもある弁当を用意している。
自宅やホテルでの療養者向け配食サービスは国の補助事業となり、各自治体が実施している。しかし、自宅療養者や濃厚接触者の数は日々刻々と変化する。食材やスタッフの確保といった対応が難しいため、自治体の求めにこたえられる事業者は多くない。レトルト食品や即席めん、スープ、缶詰などを1週間分まとめて送る自治体もある。
寝屋川市の担当者は配食サービスについて「感染者や濃厚接触者に外出しないでと要請するだけでは市民は戸惑う。陰性が確認されるまで家族分も含めた食事が毎日届くとなれば感染の抑止になり、市民全体の不安も軽減される。この状況は今後も長く続くと判断して準備した」と説明する。
官民一体で取り組む寝屋川市は昨年3月、高齢者向けの配食サービスや買い物代行を手掛けてきた杉原さんに「自宅待機や療養者向けの配食を始めたい」と相談を持ちかけた。
杉原さんは市の会議に参加して、スタッフの安全を第一に考え、利用者と対面接触せず容器を使い捨てにすることなどを提案した。
「行政と一緒にコロナと闘っている気持ち。保健所からメールで入る翌日の注文も深夜になったり、数分おきに追加が増えたり、感染拡大の状況や対応の大変さがじかに伝わってくる」
評判を聞きつけた他の自治体からも委託の問い合わせが入るが、カロリー計算やアレルギー対応など、緊急時に対応しきれない条件もあるため、断っている。本業の高齢者向け配食もあり、無理な受注はできない。
「いつもおべんとうをとどけてくださりありがとうございます」
今、杉原さんの店では配達先からスタッフが持ち帰った子供からの手紙を張り出して励みにしている。「住民が不安に感じること、事業者が必要なことに、行政が耳を傾けて感染拡大防止の環境づくりをやってくれている。行政と事業者と住民がそれぞれがやれることをやる。今はそれしかないと思います」(守田順一)
June 03, 2021 at 08:30AM
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