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貧しくても「分け与えて作る」仲間、自分が困ったら助けてくれる「人生の保険」に…タンザニア「その日暮らし」の知恵 - 読売新聞

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 コロナ禍で仕事や住まい、命までもが突然奪われると、人間の生活や命は明日何が起きるかわからない不確実性に満ちたものだったと改めて思い知らされる。コロナ禍ばかりではない。地震など自然災害の多発、非正規など不安定な働き方の増大は不確実性からくる不安を高める一方だ。
 だが、気鋭の文化人類学者、小川さやか立命館大教授は「不安定さや不確実性は排除すべきものと捉えられがちだが、新たな挑戦や希望につながる状態にあるともいえる」と指摘する。その一例として、アフリカ・タンザニアに見る「その日暮らし」の経済・社会活動がヒントになるという。
 日本と文化・風土がかけ離れたかの地のやり方が果たして参考になるのか?小川教授を訪ねた。(編集委員 猪熊律子)

 日本から遠い国の経済・社会に関心があり、タンザニアに20年前からほぼ毎年、調査に出かけています。計3年半ほどは古着の行商や露天商を自分も営んでみるなど、現地の生活にどっぷり浸る形で研究を続けています。

 タンザニアで暮らしていると、日本でいうコロナ禍で仕事が突然なくなるような事態が頻繁に起きます。店の資本を増やしても突然警察に没収されたり、仲間の裏切りにあったり、商品を預けていた倉庫が火事になって無一文になったり。

 公的な保障や保護がほとんど得られない不安定な社会では、「将来に備える」といっても、将来はどこにあるのかという感じです。日本だったら今頑張れば良い学校に入れ、大きな会社で働け、安泰な老後を過ごせるなど直線型の未来を描きやすい。でも、ここではそうはいかない。

 では、人々はどうしているか。

 この先どうなるかわからないリスキーな社会だから、一つの仕事に固執せず、いろいろな事業に投資して、いろんなタイプの人間とつながっておく。「生計多様化戦略」です。

 例えば、コロナ禍で中国と取引ができず、電化製品の商売ができなくなった。日本なら政府の助成金に期待できても、ここでは自分で何とかするしかない。

 都会に住むタンザニア人が目を向けたのが農村です。食べ物はコロナが来ようが常に要る。電化製品の商いはやめて1週間後には農村で養鶏を始めている。そんな時、役に立つのが多様な人と結んでおいた人脈です。中には養鶏のやり方を知っている人がいるから教えてもらう。すぐに新しい事業を始められる背景に、 もう けは同じ事業につぎ込まず、農地の確保など、いつか役に立つかもしれない分野に投資しておく知恵があります。

 面白いのは、「その日暮らし」をするぐらい生活が不安定で貧しくても、人々は資金や技術をすぐ人に貸したり、分け与えたりしてしまうこと。それは自分の首を絞めるだけで、お金は貯金し、技術は人に教えない方がよいと私たちは考えます。でも、不確実性の高い社会で暮らす人たちからすると、それはかえって安全ではない。

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June 15, 2021 at 03:14PM
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