雇用が四散している。コロナのせいでもあるが、それ以前から外国人投資の誘致はおろか、大企業に続いて中小企業まで海外に出ていっている状況だったのは誰も否定できない。コロナ克服後も、次の世代の雇用状況は好転しそうにない。全ての産業にわたって人工知能(AI)技術の浸透が加速し、仕事を作りだすことは一層難しくなるだろう。こうした中で、なおも雇用を守り、増やせる余地が最も大きいのが観光産業だ。 ■「2021年世界革新指数」韓国1位、米国11位、日本は? 韓国は長い年月にわたり国が一つだったので、宮殿や城といった観光資源が貧弱だ。日本だけを見ても、韓国の景福宮に相当するレベルの大名の城はざらにあり、イタリアやドイツのように19世紀半ばにようやく統一された国々は、主な都市ごとにソウルと同水準の観光資源がずらりとそろっている。数と質の面で教会・聖堂に匹敵する寺院はある。しかし山岳観光や文化・芸術観光インフラとなると、途端に胸がつかえる。 よその国は今でも、強力な文化観光地を新たに作っている。英国のテート・ギャラリーは、閉鎖された発電所を改造して2000年に「テート・モダン」をオープンし、英国画家中心の美術館という限界を乗り越えた。既に美術館があふれかえっているパリでは、2014年にルイ・ヴィトンのアルノー会長がブーローニュの森に新たな美術館(フォンダシオン・ルイ・ヴィトン)を建て、グッチのピノー会長はナポレオン3世時代の建物を改築し、自身のコレクションを展示する私設美術館(ブルス・ドゥ・コメルス)を今春オープンする。アラブ首長国連邦(UAE)は2017年、アブダビにルーブル美術館の分館(ルーブル・アブダビ)を誘致した。
これらの美術館は、それ自体も世界の人々のバケットリスト(死ぬまでにやりたいことのリスト)入りするものだが、他の用事で来た人々がもう1日追加でそこに滞在するよう仕向ける、強い誘因となっている。経済力で世界トップ10入りした韓国の国立美術館に、誰もが一度はぜひ見てみたい世界的な美術品が1点もないというのは、恥ずかしいと同時に観光インフラの脆弱(ぜいじゃく)性の観点からも大きな問題と言える。 この限界を一挙に乗り越える、逃してはならない好機が生じた。サムスンの李健熙(イ・ゴンヒ)会長の遺産のうち、美術品に対する税金を確定するための鑑定評価が最終段階に差し掛かっていて、その評価額は数兆ウォン(1兆ウォン=現在のレートで約950億円)だという。株式の相続にかかる11兆ウォン(約1兆450億円)のほかに、ここでも兆単位の税金が賦課されるだろう。 株式は税率が60%だが、ここに美術品、不動産などに対する税金を加えると70%以上を出すしかない。物納は避けられず、6回の分納をするにしても、毎年2兆ウォン(約1900億円)相当の株式が市場に出回れば株価が上がりにくくなる。住宅購入を諦めた若い世代が「魂までかき集めて」融資を受けて株を買っている状況で、これは政治的に良いニュースではない。 経営権に対する脅威と株式市場に及ぼす副作用を最小限に抑えたいなら、美術品と不動産を売り払うのがよさそうだが、これは難しい。およそ1万3000点といわれるコレクションの中には、イ・ビョンチョル会長時代から買い集めた湖巌美術館の古美術品類が多くあるが、その大部分は法律上海外への持ち出しが不可能で、韓国国内で5年以内に全て売るのは事実上不可能だ。李健熙会長が集めた韓国の有名画家の作品も、5年に分けて売るとしても正当な買値は付き難く、それでなくとも低い評価を受けている韓国文化財や美術品の価格をさらに下げてしまう。
March 08, 2021 at 07:33AM
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