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ふてぶてしく生きる 不登校経験の詩人が子どもたちに作る居場所 - 毎日新聞

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詩人の向坂くじらさん。自宅で国語教室「ことぱ舎」を運営している=埼玉県桶川市で2023年10月17日、成澤隼人撮影 拡大
詩人の向坂くじらさん。自宅で国語教室「ことぱ舎」を運営している=埼玉県桶川市で2023年10月17日、成澤隼人撮影

 埼玉県桶川市を拠点に創作活動をする詩人の向坂くじらさん(29)。かつては不登校や就職活動での挫折を経験したが、「ふてぶてしく社会と関わりたい」と、自宅で小中高生の国語教室「ことぱ舎」を主宰したり、不登校の子どもたち向けの詩のワークショップを開いたりするなど、精力的に活動の幅を広げている。詩や多彩な活動に込めた思い、今後の目標を聞いた。【成澤隼人】

 ――詩人になろうと思い立ったきっかけは。

 ◆小さい頃から「書くこと」が好きで、元々は小説を書いていました。大学ではサークルで短歌を作るようになり、徐々に定型のないものが書きたいと思って詩に興味を持つようになりました。

 元々目指していた国語教師を断念し、大学卒業後は詩を書きながら就職活動を続けていたのですが、仕事がなかなか見つからなくて。無職で活動し続けて思い悩んでいた時、尊敬する詩人の大島健夫さんに「詩人と名乗っちゃえばいいんじゃない」と言葉をかけられ、背中を押してもらったという感じです。

 ――作品のテーマや伝えたいことは?

 ◆日常における人とのコミュニケーションや、誰かと関係を作っていくことはどういうことなのかに興味があるんです。私には発達障害があるのですが、自分の言ったことが望まない形で受け取られてしまうとか、逆に人に言われた嫌みが理解できないといったことが幼少期から頻繁にありました。

 そういう経験をしてきたからか、人と人との感情の動きであったり、他人への思いや気持ちがいかにして失敗したり成功したりするのかに興味が湧きます。今年出版した詩も交えたエッセー集では、「一番近くにいる他人」でもある夫との日常生活を取り上げました。

 ――詩を書く傍ら、自宅で小中高生向けの国語塾「ことぱ舎」を主宰されています。

 ◆これまで詩のワークショップで講師を務める一方、家庭教師や塾講師として勉強を教えてきました。正解がある受験勉強を教えていながら、「詩は自由で答えがないですよ」と伝えていることに違和感を覚えたんです。不登校の子ども向けのワークショップで縦書きの文章を見たことがない子がいたんです。その子らに「みんな自由な表現でいいよ」と伝えるのはどうも違うなと感じました。同じ国語というひとくくりなんだし、詩の創作、ルールや文法の両方を同じ場所で教えたいと思ったんです。

 ――今年の春には教室の無料開放も始めたそうですね。

 ◆一番のきっかけは「小中高生の自殺が過去最多になった」というニュースを目にしたことです。高校時代、どうしても学校に行けなかった時期があり、朝だと公共施設も空いていなくて、ずっと路線バスに乗っていた記憶が思い出されたんです。「なぜ学校に行かないの」と質問されず、不登校の子が朝からふらっと立ち寄れる場所を作りたいなと思ったんですよね。

 ――今後の目標を教えてください。

 ◆学校も不登校で就職活動もうまくいかず、この社会に私が生きる場所はないんじゃないかと考えたこともありました。それでも自分にやれることはすべてやろうと思って、詩の創作以外にも活動を広げてきたつもりです。ふてぶてしく生きれば、最終的に社会をよくすることができるんじゃないかと思って、頑張っていきます。


 ■人物略歴

向坂くじら(さきさか・くじら)さん

 1994年、名古屋市生まれ。慶応大卒。2020年から桶川市在住。22年に第1詩集「とても小さな理解のための」を刊行。23年7月、初のエッセー集「夫婦間における愛の適温」が出版された。

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November 26, 2023 at 07:59AM
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