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山陰中央新報社|出雲の気候が作る 多彩な味と香り - 山陰中央新報

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チョコレート愛を語る西森さん
ショコラティエ 西森亜矢さん(出雲市)

 世界のチョコレート好きが注目する専門店が島根にある。ラ・ショコラトリ・ナナイロ(出雲市斐川町坂田)で、代表でショコラティエ(職人)の西森亜矢さん(40)は、常識を覆す製法で、出雲にしかないチョコレートを作りだす。

 大阪出身で映像製作会社に勤めていた。2010年、転勤で出雲市に。新しい土地で何かしたいと考え、趣味のチョコレート作りに本格的に取り組むことにした。

季節の素材を使ったホワイトチョコレート(インスタグラムより)
 その少し前、アメリカ土産のビーントゥバー(※注)に出会った。そのおいしさと、カカオ豆と砂糖だけという原材料に驚いた。製法を調べ、材料を取り寄せて独力でチョコを作るまでになっていた。

 ※ビーントゥバー(Bean To Bar) カカオ豆(Bean)の仕入れから板チョコ(Bar)になるまで1カ所で製造されたチョコレート。添加物や香料も加えず、作り手の個性が際立つこだわりの製品が多い。2000年代初めにアメリカで生まれて世界に広がり、日本でも人気を集めている。

 資料を読み込み、専門家に教えを請いに行った。2015年10月にネット上で手作りチョコの販売を始め、海外に向けて英語で発信すると、すぐに注文が入るように。翌年には専門サイトで「世界のチョコレート10選」に選ばれ、国内からも多くの注文が寄せられるようになった。

 味の秘密は出雲の気候だ。チョコレート作りは低温・低湿度が基本。厳密な温度管理で品質を一定に保つ。ところが、どうしても味が変動する。「もしや」とひらめき、外気温が原因だとつきとめた。手作りの工房では密閉が難しく、条件を一定にできなかった。

 「いっそ気温が変動する時期に作ろう」と発想を変えた。乾燥する5月から梅雨を経て暑くなる8月まで、同じ製法でもひと月ごとに異なる味になった。「大阪ならここまで味の変化は出ない」。出雲の気候が、ここにしかないチョコレートを生んだ。

バッチNo47は、マダガスカル産カカオ豆65%のダークチョコレート。山葡萄のジャムのような、しっかりした甘味の中にほどよい酸味と爽やかな苦味が混じる(ホームページより)
 現在は冬と夏に作るコレクションを柱に、季節に合わせて多彩な味を並べる。「まだ使ったことのない産地の材料がたくさん。一生終わらないんじゃないかって思います」

 コレクションには「交響曲」「魔法と宝石」など、想像力をかき立てるテーマがつく。製品に添えたフレーバーノート(味の説明書)を読むと、期待が膨らむ。チョコレートを口に含むと、コクと香りがあふれ出す。一枚のチョコレートを多角的に楽しめる体験が、ファンをめろめろに溶かしている。(金曜日配信)

店内のカフェでは食べ比べもできる
ナナイロのホームページ
https://chocolate-nanairo.com/

ナナイロのインスタグラム
https://www.instagram.com/la_chocolaterie_nanairo/

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 ナナイロの記事はgooブログでも配信しています。
https://blog.goo.ne.jp/sanin-chuo

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September 04, 2020 at 09:06AM
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