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持続可能なロボット、いかにして作るか - Wall Street Journal

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――筆者のジャッキー・スノー氏は米首都ワシントン在住のライター

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 ロボットといえば、新品の金属部品でできた巨大な機械で、従来のエネルギー源で稼働するものが多い。しかし、各国政府や環境保護団体がいかにして気候変動目標を達成するかを模索する中、一部のロボット研究者たちは、再生された生分解性の交換可能な部品を使用して新たな概念のロボットを作る構想を推進している。

 「ロボットが気候の緊急事態に対する解決策の一部でないとすれば、問題の一部だ」。西イングランド大学のアラン・ウィンフィールド教授(ロボット倫理学)はこう話す。

 ロボットが行う作業によって、持続可能性のあり方は機械ごとに違ってくる可能性がある。一般的に、より持続可能なロボットを作るには、まず再生材料や持続可能な材料などの倫理的な資源を使用し、可能な限りエネルギー効率良く機能するよう設計する。さらに、壊れた場合には修理でき、退役の時が来たらリサイクルできるようにする必要もある。センサーやコンピューターチップの中には現在、リサイクルや再利用ができないものもあるかもしれないが、そのような部品がロボットの大きな割合を占めることはない。

 持続可能性の定義には、ロボットの機能も含まれる。ウィンフィールド氏によると、ロボットが再生材で作られていても、殺虫剤の散布に使われていれば、必ずしも持続可能とは言えない。「ロボットの用途も、持続可能なプロセスの一部であるべきだ」と同氏は話す。

 家電製品が生み出す廃棄物や人工知能(AI)アルゴリズムの学習に必要なエネルギーは批判の的にされているが、ロボットはさほど注目を集めていない。それらは主に工場の現場で使用されており、あまり人目につかないためだ。しかし、ロボットが家庭やもっと多くの職場に普及すれば、古くなったり壊れたりすると捨てられる消費財のようになるだろう。こう話すのは、オーストリアのヨハネス・ケプラー大学リンツ校の教授で同校のソフト・エレクトロニクス研究所のトップを務めるマルティン・カルテンブルナー氏だ。

 「ロボットがどこにでも存在するようになれば、おのずと廃棄物が生み出される」と同氏は指摘。「経験から分かる通り、実際のところ、それはほぼ避けられない」と述べた。

 最初に開発が試みられた持続可能なロボットの一つが、2002年に西イングランド大学のブリストル・ロボティクス研究所が製作した「EcoBot(エコボット)」だ。エコボットは、90%が再生可能な材料で作られており、バクテリアが有機物を分解する際に発生するエネルギーで発電する微生物燃料電池(MFC)を使用していた。西イングランド大学の教授でブリストル・ロボティクス研究所ブリストル・バイオエナジー・センターのディレクターを務めるイオアニス・イエロポロス氏は、同研究所が開発した新型のMFCについて、産業ロボットに電力を供給できる可能性があると話す。同氏は現在、エコボットやバイオエネルギー関連のプロジェクトに携わっている。「われわれはまだ取締役会を前にする段階には至っていない」としつつも、カンファレンスでの交流やビジネス界の人たちとの電子メールのやり取りを通じて「商業セクターにも認知されるようになってきている」と述べた。また、守秘義務のため企業名は明かさなかったが、同研究所が最近、ある企業と共同開発契約を結んだことも明らかにした。

イエロポロス教授は、研究所の最新技術をぜひビジネスの場で試したいと考えている

Photo: GARETH PHILLIPS for The Wall Street Journal

 イエロポロス氏は、同研究所の最新技術をぜひビジネスの場で試したいと考えている。「大学の研究所でできることは限られている」と同氏は述べた。

 持続可能なロボットは、新しい用途に活用できる可能性があると推進派は話す。生分解性の材料には柔らかいものが多く、硬い材料よりも人間の周囲で使うのに安全で、さまざまな用途にも適応させやすい。

 イタリア工科大学の研究者、ラウラ・マルゲリ氏は「ロボットの安全生と適応性を高めるために柔らかい材料を使用する、という考え方が広がっている」とし、「生分解性の材料を使ってロボットの設計を見直すことで、ロボットシステムの新たな波が広がりつつある」と話す。

 マルゲリ氏は、生分解性の超小型ロボットを開発する「I-Seed(アイシード)」プロジェクトに取り組んでいる。このI-Seedロボットは、少しの風で遠くまで移動できる種子の性質を模している。それら超小型ロボットをドローン(無人機)でばらまき、大気中や土壌中の気候に関するデータを観測、記録させる。そうしたデータは環境保全の取り組みの指針になり得る。特に、到達するのが困難な遠隔地で有用だとマルゲリ氏は話す。

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October 22, 2021 at 12:17PM
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