海の哺乳類は、一つの個体が大きいため、ストランディングで貴重なクジラを得られても、収蔵方法や収蔵場所を用意するのに一苦労する。 たとえば国立科学博物館で特別展を開催することになったら、心臓や腎臓などの臓器標本、寄生虫標本や仮はく製などは、私たち科博のスタッフでも準備し作製できるが、“展示の目玉”となると、それ相当のクオリティの標本が必要になる。 そのため、専門の標本作製業者さんに発注することになり、当然ながら費用が発生する。なかでも海の哺乳類は、他の生物に比べて標本の大きさが尋常ではないので、予算の金額が1桁違ってくる。 たとえば、骨格標本を展示するには、一つ一つの骨を組み上げて形をつくる(交連骨格という)が、この作製費用がハンパではない。おおよその相場は1メートルにつき100万円。 以前、科博に保管されている体長12メートルのツノシマクジラ(ヒゲクジラの一種)の標本の交連骨格を制作したときの費用は、ナント1000万円以上だった! アメリカの国立自然史博物館では、旅客機の格納庫を標本の収蔵庫として活用し、そこに世界最大の動物であるシロナガスクジラの頭骨がずらーっと収蔵されている。 しかし、現在、国内には日本周囲由来のシロナガスクジラ(成体)の完璧な全身骨格は一つもない。 そのため、必要なときは海外から購入するしかないのだ。購入するとなれば、1メートル100万円とすると26メートルのシロナガスクジラは……3000万円近くかかる。それとは別に海外からの輸送費も半端ない。 そのため簡単に、「シロナガスクジラの特別展を開催したい」とはいえない現実がある。 クジラが1個体追加されただけで、他の生物とは比べものにならないほど予算が跳ね上がる。クジラに限らないが、このような財務課との交渉術も、博物館人にとっては大切な仕事だ。 ※本記事は『海獣学者、クジラを解剖する。』(山と溪谷社)を一部掲載したものです。
October 17, 2021 at 06:12AM
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クジラ1頭の骨格標本を作るには 円!! 国立科学博物館の知られざる舞台裏(YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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