滋賀県東近江市小脇町の日本料理店「魚繁(うおしげ)大王殿」が、加齢や病気で食べ物がのみ込みにくくなる嚥下(えんげ)障害に対応した会席コースやテイクアウト用弁当の提供を始めた。2代目の岩崎勝さん(44)が、客からの「やわらかな食べ物はできますか」との要望にこたえようと決断した。飲食店ではまだ珍しい取り組みといい、大阪など県外からも来店があるという。
岩崎さんは3年ほど前から、父で先代の繁さん(73)が食事の際、たびたびせき込むのを目にし、嚥下障害の前兆ではと気になっていた。そんな中、新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)で法事などの予約客のキャンセルが相次ぐ苦境に見舞われた。
店のあり方や客との向き合い方を再考した。「車いすでも入れますか」「多目的トイレはありますか」「やわらかい食事をとれますか」といった問い合わせが以前から寄せられていた。繁さんのことも念頭にあり、応えなければと思った。
店を改修するため、今年5月から約3カ月休業した。1階部分の段差をできる限り減らし、介助の人も入れるように多目的トイレを設置した。
その間、岩崎さんは入院患者の食事を病院に提供する会社で働いた。野菜の刻み方ややわらかさの加減など、嚥下障害がある人のための料理作りを学んだ。患者に向き合う作業は「改めて料理の根本的なことを学ばせてもらった」という。
和食で客の願いを叶(かな)えたいと「叶和(とわ)」と名付けた嚥下食の提供は、開業記念日の9月18日から始めた。食材を2センチ以内に切った「一口」、1~0・5センチに切った「きざみ」、飲めるぐらいの「とろみ」、「ゼリー状」の4種類を用意。実際に料理を出す時は、家族にやわらかさを確認してもらっている。
地域の食材にもこだわり、エビ豆やビワマスの塩焼き、子アユのつくだ煮なども出す。そして、会席や弁当に必ず入れるのが「やわらかうな丼」だ。好きなのに障害であきらめている人が多いからという。ベンチャー企業が開発した、食べ物をやわらかくする調理家電を使って提供する。
料金(税込み)は会席コースが4千円、楽に食事ができるようにデザインされた「自助食器」に盛りつけたワンプレートコースが3千円、6品弁当が2千円、8品弁当が3千円。
これまで飲食店で食事する際、料理を刻むミキサーなどを持参していた家族からは「荷物を持たないで来店するのは初めて」と言われたという。岩崎さんは「お客さんから『ありがとう』『楽しかった』と言ってもらえ、本当にやってよかったと思う。気軽に来ていただけたら」と話している。
月曜定休。叶和の予約は3日前までに。問い合わせは魚繁大王殿(0748・23・5179)へ。(松浦和夫)
December 14, 2022 at 09:01PM
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