志摩半島の東端にある三重県鳥羽市国崎(くざき)町に、干し芋「にっきり干し」という海女たちがつくる伝統食がある。「きんこ」の名前でも知られるお菓子だが、市場に出回る量が非常に少なく、高齢化もあって先細り状態になっている。市は、生産量を増やし、特産品として売り出そうと本格的に支援に乗り出した。
きんこは、JA伊勢などが販売している「志摩のきんこ」が有名で、志摩市産のサツマイモ「隼人芋」からつくっている。
一方、鳥羽の、にっきり干しはサツマイモ「兼六芋」を使っている。市農水商工課によると、国崎町の海女らが漁の合間に栽培、生産をしていた。110戸ほどの町で、現在手がけているのは十数戸と減少傾向にあるという。
兼六芋については、甘みが強いという長所はあるものの病気に弱く、収量が多くないため国内では広まらなかったとされる。
にっきり干しへの加工も手間暇がかかる。①10月に収穫した芋を1カ月ほど貯蔵熟成②皮むきを2回③とろ火で1時間半煮込む④天日干しを14~20日。
海女で、夫の世古憲一さん(75)と一緒に半世紀以上つくっている、ふじえさん(72)は「一つひとつの作業をきちんとせな甘ならんし、保存食にならん。せやで数はできやんの(だからたくさんはつくれません)」。
ふじえさんらによると、担い手は年々減っており、高齢化もあって「最年少」でも60代だという。
にっきり干しは、かつて町内で自家消費されるだけだったが、おいしさと食感の良さに加え、希少価値もあり、2010年ごろから業者に買い取られるようになった。13年度からは、市中心部にある直売所の鳥羽マルシェで「にっきり干し きんこ」の名前で販売されるようになった。1袋200グラム入りで税込み880円。昨季の販売量は279キロだった。
ただ出荷できるほどつくっているのは3戸ほど。そこで市は、生産量の安定と拡大のため支援を始めた。
まず芋の病気対策のため、専用施設を造って病気にかかりにくいウイルスフリーの苗を育てた。そこからできた種芋を国崎町内の農家4戸に提供。さらに住民に栽培をするよう働きかけている。国崎町外の農家にも試験栽培をしてもらっている。市農水商工課の担当者は「鳥羽が誇る、ブランド化できる商品になると思う。伝統的な加工方法を守りつつ、生産量と販路を広げていきたい」と話す。
ふじえさんは「昔からあった食べもんが評価されるようになってうれしい。やる人がおらんようになってきたんが心配やったので、若い人らも加わってくれるようになったらええ」と話している。(臼井昭仁)
December 13, 2022 at 08:09PM
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海女が作る伝統の「にっきり干し」、特産品めざし鳥羽市が支援 三重:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル
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