東京ガスは、脱炭素に向けた取り組みを加速させている。都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)は、ロシアのウクライナ侵略後に価格が上昇し、調達が難しくなっている。笹山晋一社長に戦略を聞いた。
――LNGの調達は、どう工夫しているのか。
「この10年、20年ほどを振り返ると、ロシアによるウクライナ侵略や東日本大震災、リーマン・ショックなどで、市場は激しく動いてきた。予想外の出来事が起こるということを事前に想定し、LNGの調達先を多様化しておく必要がある。
東京ガスでは長期契約でもいろいろな形態があり、調達先も分散させている。今まではアジア太平洋地域が中心だったが、米国やアフリカからも調達し、どこかでトラブルがあってもカバーできるようにする。
昨年度は暖冬だった。在庫を多めに持って、需給に応じて売買するスポット取引によって、高いLNGを多く買わずに済み、好決算につながった。適正な在庫を持ち、グローバルに需給調整をしながら安定的に供給し、収益機会も増やしていくことが大事になる」
――再生可能エネルギー事業をどう伸ばすか。
「海外では米国や欧州、アジアを中心に増やしていこうと考えている。現在、米テキサス州での太陽光発電を行っており、欧州でも北欧の会社と組んで陸上風力発電を中心に、強化している。
国内で今後、伸ばしていくのは風力、中でも洋上風力だ。プロジェクトは、これから規模が大きくなってくる。パートナー企業と組んで、地元の理解を得ながら進めているところもある。いくつか実現できるのではないかと思っている。
再生エネを国内外で増やしつつ、いかに有効活用するかという視点から、新たな組織を設立した。国内外の洋上風力の開発業務を集約化し、再生エネによる電気を基に水素を作るなど、取り組みを強化していきたい」
――ガスというエネルギーの可能性は。
「これからの東京ガスは、ガスだ電気だということだけでなく、それを組み合わせた脱炭素につながるサービスを提供していく会社になる。ガスは少なくとも脱炭素化への移行期において重要なエネルギーだ。水素と二酸化炭素を合成し、都市ガスとして使える『e‐メタン』は、体積あたりの熱量やエネルギー密度が高い。既存施設を使えることを踏まえると、重要なエネルギーサービスになり得る。
重要なのは水素をいかに安く作るかということだ。他の企業と提携して、水電解で水素を安く作る技術の開発を進めている。LNG導入前、都市ガスは石炭や石油を改質して作っており、熱分解で水素を作る技術は以前から持っていた。ベースとなる技術をいかにスケール化し、安くしていくかがポイントになる」
◆笹山晋一氏 (ささやま・しんいち) 1986年東大工卒、入社。2014年4月に事業革新プロジェクト部長に就任し、16年4月の電力小売り全面自由化に向けた営業戦略の策定を指揮した。代表執行役副社長兼最高戦略責任者(CSO)を経て23年4月から社長。岡山県出身。
June 13, 2023 at 01:00PM
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