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スタートアップの風土 鹿児島でどう作る? - nhk.or.jp

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mark MEIZANの代表に聞く

  • 2023年10月21日

社会の課題を解決するとともに、革新的なビジネスで急成長を目指すスタートアップ企業。その支援などを行う「mark MEIZAN」(マークメイザン)という施設が鹿児島市にあります。運営する野崎弘幸さんに、新たな発想や価値を見いだす風土をどう作ろうとしているのか、話を聞きました。

鹿児島局記者 古河美香

「mark MEIZAN」は、その名のとおり、鹿児島市名山町にあります。鹿児島市がスタートアップ支援の拠点などにしようと、2019年にオープンしました。

さまざまなイベントが開かれる

事業に付加価値をつけたい人や、新規事業に取り組みたい人、10代の若い人たちなどがやってきます。自由に集い、オープンな雰囲気で意見を交わせるスペースや、イベントが行えるスタジオなどを通じて交流を深めているのです。

「mark MEIZAN」2代目代表の野崎弘幸さん

鹿児島市の委託を受けて施設を運営する野崎弘幸さんは、ことし4月に2代目の代表に就任しました。政府による「スタートアップ5か年計画」も本格的に始まっていて、その機運は高まりつつあります。

各分野の専門家たちが起業を支援

野崎さんはまず、エンジニアや資金の相談ができる銀行員など、各分野の専門家を集めた支援体制をつくりました。この半年で寄せられた相談は大幅に増えていて、起業への関心の高まりを肌で感じています。
 

相談対応はめちゃくちゃ増えているんですよ。情報を取りにいこうとする人たちが「mark MEIZAN」の存在を知り始めたのだと思います。文化的に、まだすごく鹿児島に多いというわけではないけど、“起業”という選択肢もあるということを知り始めたと思います。 

IT企業の経営者の野崎さん

実は、IT企業を興した起業家でもある野崎さん。人とのつながりがきっかけで開発に携わった事業があります。人工衛星から送られるデータと、漁業者の操業日誌の記録をもとに漁場を予測するシステムです。

野崎さんが開発に携わった“漁場予測システム”

ベテランの勘や経験に頼りがちな漁場を、一目で分かるようにしたのです。宇宙データと漁業。一見、つながりがないように思えるこの2つを結びつけたのは、これまで培ってきた人間関係でした。この経験から、世代や立場を超えた交流がイノベーションを生み出す源になると考えています。

若い人も、大企業の偉い人も、大学の教授も、コミュニティーの場ではフラットで、フェアな関係性なんです。多様性の中でいろんな気づきが出てくるので、それができる構図が必要だと思っています。そのために、コミュニティーの形成はすごく大事だと考えています。「あっ、こういう考え方もあったのか」とか、「こういうこともあるんだな」という発見や気づきの場にしたいなと思っています。

いま、施設には、世代を問わず、さまざまな人が訪れます。9月下旬の日曜日。訪れたのは、なんと、4人の高校生です。株式会社を立ち上げたいというのです。手荷物を空きテナントに預けるサービスをビジネスにしようと考えています。観光や仕事で訪れる人たちに、身軽になって鹿児島を歩いてもらいたい。「世の中の役に立ちたい」という思いが、高校生を動かしています。
 

高校生が野崎さんに事業計画を相談

この日、高校生たちは野崎さんに事業計画を説明しました。そして、「まずは鹿児島でやってみて、都市部に行けばビジネスモデルを変えないといけないと思っています」と、少し先の話もしていました。野崎さんは利用者を増やす方法をいくつかアドバイス。さらに、施設にいるより専門性の高いスタッフを紹介し、高校生との“つなぎ役”も行いました。野崎さんは、こうした若い世代の柔軟な発想と熱意に期待を寄せています。

若い時に自分が志すものがあることはいいことだと思います。若ければ若いほど選択肢の幅が広がり、可能性も大きくなると思います。このような若い人たちが増えていくことで、起業に関心のある人たち全体の母数が増え、数年後にスタートアップに関わる人たちが増えていく。そういう文化が定着していくことが大事だと思っています。とにかく若い人たちに来てほしいです。

訪れた人たちが交流を深める

事業の成長を後押ししたい野崎さんは、交流の機会を増やし、アイデアの種が生まれる場になることを目指します。1次産業が盛んな鹿児島では、アイデア1つで事業の成長につなげるチャンスが十分にあると考えています。

社会を豊かにしたい、世の中を前進させたいと思ったら、その時点で、その人はスタートアップ志向です。実現できれば、小さくまとまらずに全国展開すればいい。ニッチなものをグローバルへ展開してもらいたい。自分たちの商品やサービスの価値を高め、その対価を有意義なことに使えるようにしてほしいです。いいサイクルを回せるようになってほしいと思っています。

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October 21, 2023 at 10:46AM
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