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【野遊びのススメ】#47 木の枝で作る枯れない花「削り花」 - MGプレス

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キャンプで遊びの一つに

今日から3月。その昔、生花が手に入らなかった春の彼岸に、木の枝を小刀で削って花びらのように作る「削(けず)り花(ばな)」をお墓に供える風習が主に東北地方であったそうだ。年初めに作り、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願したともいわれる。その削り花を、今の時代に合わせて作って楽しんでいる山形県出身で野外技術研究家・日本理科美術協会会員・絵本作家のスズキサトルさん(49、松本市)に教わった。

日本古来の文化楽しくつなぐ

2月初旬、穏やかな日和に待ち合わせ場所の芥子坊主農村公園(同市岡田町)に着くと、野営セットがいい雰囲気で整っていた。「今たき木を集めているところです」と、トレードマークの宮笠をかぶったスズキさんが迎えてくれた。
最低限の道具を使って自然の中で過ごす「ブッシュクラフト」を始めて20年。外へ繰り出すときはバックパック一つ。現地にあるものを使い、必要なものは全て作ってしまう。この日も正方形のタープ1枚でテントを張り、ペグ(くい)は落ちている木の枝で。煮炊き用の三脚も、木の枝とアケビのつるをよったひもでささっと作った。
「昔の人は生活に使うものは何でも手作りしていたけど、必要がなくなるとやらなくなっちゃう。削り花も生花が年中手に入るようになれば、作る人がいなくなっちゃうんだよね」とスズキさん。コーヒー片手にパチパチとはじけるたき火の音を聞きながら、早速とりかかった。
拾ってきた直径1・5センチほどの広葉樹の枝を、ナイフで鉛筆を削るように5センチほどそぎ、切り落とさずに削った部分を起こして広げる。枝を回しながらこの作業を繰り返していくと花びらが完成。花の中心部分にあたる細くなった枝を、ぽきっと折れば出来上がりだ。長い枝を使えば連続した花も作れる。
さて私も挑戦。簡単そうに見えたが、同じ幅で長く削るのが難しく、笑ってしまうほど小さい花になった。
完成した削り花をいくつかたき火台に入れ、もったいない気もしたが火を付けると、みるみる燃えていった。同じように木の枝をそぎ切りして作る天然の着火剤「フェザースティック」のように、花びら部分に空気が入り燃えやすいそうだ。
スズキさんは「日本古来の文化だけど、それが前面に出て民俗学のように小難しくなっちゃうとなかなか続かない。アクティビティーの一つとしてキャンプに取り入れると、『かわいい』『面白そう』って続いていくんじゃないかな。子どもが『あのおじさんが作ってるお花のやつ、お父さん作って』って続いていったらいいな」とほほ笑んだ。

フェザースティックは、スズキさんの著書『森のブッシュクラフト図鑑スズキサトルのクラフトワークブック』(1760円、笠倉出版社)に掲載している。

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March 01, 2023 at 06:52AM
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