国内のチョコレート菓子メーカーが、児童労働問題の解決に取り組んでいる。有楽製菓(東京)は、幅広い年代に人気の主力商品「ブラックサンダー」に用いるすべてのカカオ原料を児童労働に頼らないものに切り替えた。一個三十五円のチョコバーに「食べる人だけでなく作る人も笑顔にしたい」との思いを込める。 (川合道子)
ブラックサンダーのパッケージには、カカオ豆を挟んで二つの笑顔のイラストが添えられている。有楽製菓が取り組む「スマイルカカオプロジェクト」のロゴマーク。「一つは日本、もう一つはアフリカのガーナの子の笑顔を表しています」と河合辰信社長(40)は説明する。
同社は二〇二〇年三月、国内の大手メーカーに先駆け、二五年までにすべての自社商品に使うカカオ原料を児童労働に頼らないものに変更すると発表した。まずは売り上げの多くを占めるブラックサンダーの改善を進め、昨年九月中旬の生産分から、すべての原料を切り替えた。
きっかけは、チョコレートの主原料となるカカオの産地・ガーナの現状だ。十年以上にわたり、現地で児童労働撤廃や就学支援などに取り組む認定NPO法人「ACE(エース)」(東京)を通じ、学齢期の子どもたちが学校に行けず、労働を強いられていることを知った。
鋭利な刃物で実を割る、重い袋を頭に載せて運ぶ、農薬を散布するといった危険な作業を担う子どもたちも。「食べる人に喜んでもらおうとやってきたが、実際は作る人の笑顔を搾取していた。この矛盾を変えなければと思った」と河合社長は振り返る。
一九年一月、社内に「児童労働問題を考える会」を立ち上げ、課題解決に向けて議論を重ねた。新商品を作る案も上がったが「主力商品の原料を変えていくことこそがやるべきこと」との結論に行き着いた。
チョコレート材料の供給元との取引を見直し、児童労働に頼らないカカオを扱う企業から材料を調達。そうしたカカオは、農家への収入援助や農業指導、児童労働から子どもを守る活動などに対する支援金を上乗せして購入するようにした。
河合社長は「おいしいのは当たり前で、社会問題に対して本気で取り組んでいないと選ばれない時代。会社も社会も、サステナブル(持続可能)なものにしていきたい」と意気込む。
◆子ども 5人に1人が労働
ACEによると、日本が輸入するカカオの約7割を生産するガーナでは、家族経営による小規模農園が多く、子どもの5人に1人が労働を余儀なくされている。ACEソーシャルビジネス推進事業チーフの佐藤有希子さんは「学校に行けず読み書きや計算ができなければ、将来の選択肢を狭めてしまう」と懸念する。
国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、2025年までにあらゆる児童労働を撤廃することが掲げられており、大手メーカーも児童労働に配慮した原料に切り替える動きを加速させている。20年1月には国際協力機構(JICA)主導で「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」が発足し、メーカーや商社を含む業界全体による取り組みもスタート。佐藤さんは「問題解決には企業だけでは限界があり、関係機関が連携して取り組む必要がある」と訴えている。
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April 03, 2023 at 05:18AM
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